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勢いで出す「シン・エヴァンゲリオン劇場版」鑑賞記

※この記事は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」のネタバレを含みます。

※この記事は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」のネタバレをめっちゃ含みます。

※この記事は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」のネタバレをそりゃあもう含みます。

大事なことなので3回言いました。私もTwitterでめちゃめちゃワードミュートして細心の注意を払って1週すごしたので(初日に見に行け)、観た人だけ読んでください。私が前に書いた はな恋 の記事と同じように勢いで映画以外のことも書くので基本的に冗長です改行少ないです読まなくてもいいです

新劇場版3作を見直してから臨んだシンエヴァ。もう何回目か分からないトップガンマーヴェリックの予告を見て(いつ公開するんだろ…)などと思いながら鑑賞開始。お約束の漢字とカタカナの専門用語ラッシュに気持ちよく溺れながら駆け抜けました。ただ隣の席の男性がスマホの電源切らない野郎だったのでそれだけは許せなかった。もう本当に勘弁して欲しいfxxk you

怒りにまかせて本編の前にこの話をちょっと広げます、マジで映画館でスマホの電源切らない野郎は有り得ない、隣がスマホつけたとき反射で舌打ちしてしまった、映画の音とマスクと1席空いた距離で音が相手に聞こえないのに空しさすら覚える、音は届かないのに光だけが届いて私だけが損な目にあう。ホントに最低な気分になるので絶対に電源を切りましょう。宗教上の理由でスマホの電源が切れない方はせめて取り出さないで下さい。ポケットじゃなくてカバンの中に。

(本編入ります)

アバンでめちゃめちゃバトルして(超ボキャ貧)、トウジとケンスケの再登場から始まった今作。命の営みを描くときはより丁寧に・ゆっくりと・温かみのある映像にアコースティックな音楽を乗せて、戦闘の描写はより苛烈に・スピーディーに・激しい点滅とギラギラのエレキギターで というように、今までのエヴァを増幅したような濃い演出が全く途切れずに詰まっていてまずそこに感動しました。まさに 細工は流々仕上げを御覧じろ です。

映像表現の多様さにも度肝を抜かれました。最新のモデリングや3DCGはもちろん、古典的な手書きのセル画やモノクロスケッチ、よろしくお願いします!と書かれたラフ画、見上げたり見下ろしたり旋回したりする複雑なカメラワーク、シンゴジラでiPhoneを使ったときのようなビデオカメラ越しの映像、撮影セットでプロジェクターが映し出す旧作の映像たち、モーションキャプチャーの人間の骨組みをシミュレーションで直接使う技法、果てはミニチュアとモーションキャプチャーを合わせた力技(!)から実写(!!)まで。恐ろしく手間がかかろうが何だろうが、やれる事を全部やる!という執念をまざまざと見せつけられて快感でした。ありがたやありがたや。

そしてイオンシネマのULTIRAで見たので低音の鳴動が体じゅうに来て、銃撃音や金属音をよりリアルに体感できました。ULTIRAも良いけどIMAXも気になる。

音関係でもういくつか。多種多様なアレンジを聞かせてくれたヤシマ作戦のメインテーマが、シンジとゲンドウが戦うシーンでティンパニのみのイントロが流れた時の「本家本元来ました」感にはブチ上がりました。あとこれは完全に余談ですがティンパニの画像をいらすとやから持ってきたとき、ティンパニで検索したらティンパニに頭から突っ込む人のイラストがあって笑った。

宇多田ヒカルさんのお声を良いスピーカーで味わえるのも魅力でした。1/fゆらぎ最高。私の推しである白雪巴氏の声もおそらく1/fゆらぎだと思います。美しい声で宇多田ヒカルを歌ってくれ。

閑話休題、だんだん疲れてきて脱線も増えてきましたがまだまだ続きます、もっと書きたいことがあるんだ!

今までの全てのシーンがこの1本の映画の為にあった、と思わせる前作たちとの繋がりは圧巻の一言でした。凄すぎました。物語の根幹の繋がりと、ファンサービスのような繋がりの両方が有り得ないくらい充実していたのです。25年以上続いたシリーズの仕舞い方として、これ以上ない落とし前のつけ方だと思います。
アンダーテールのGルートではサンズを倒して地上に出て、現実に戻ってゲームが終わるという演出があるように、使徒もエヴァもいない世界で歳をとって声変わりしたシンジ君が締めくくり、実写の空撮で終わらせた後味に「そうかぁ〜〜〜」と満足しました。

伏線回収という言葉が何となく苦手なので、種まきと収穫とか、問いと答え合わせ、と言いたいです。ちょうど前作Qだし。

シンエヴァのテーマは「重ね合わせ」にあると思います。アニメと旧劇、序破Qそれぞれの重ね合わせ、使徒の重ね合わせ、エヴァイマジナリーの重ね合わせ、時間の経過、食事やフロのシーン、「これだから若い男は…」などの台詞の重ね合わせ、あらゆるシーンにあらゆる過去が重なっているのです。

最後にエヴァに乗るシンジ君に、最初にエヴァに乗って歩く映像を重ねる所からの記憶巡りは本当にアツかったです。劇場でウワァァって言いました。建物のミニチュアを1個1個トラッキングした所はアナログとデジタルの重ね合わせと言えるでしょう。特撮好きの極致だと思いました。超技術と手間がすごい。
これも脱線ですが、量子コンピューターは重ね合わせによって0と1を同時に計算できるそうです。あんまり理解してないですが、量子力学で重ね合わせは重要なワードなのです。これがSFの話じゃなくなってきてるから驚きだよ。

終盤、ゲンドウの長く息継ぎの少ないモノローグによってエヴァンゲリオンという物語が補完されていきます。正直ここはトータルの時間長くなってもいいからもうちょい息継ぎして欲しかった。速い。早口は庵野監督の得意技なので、速いと思った私は未熟なのでしょう。

プロジェクターのシーンで行われた「シンエヴァはエヴァの全ての歴史を内包する」という大胆な引用も、エヴァが長い時間をかけて作られたことと、長い時間愛され続けたことの表れだと思いました。あんなにカッコいい演出はないです。ディズムさんとまだら牛さんのカタシロエスを連想しました。Vtuber好きはカタシロを見ろ。

エンドロールにufotableやA-1 pictures、ライデンフィルムといった見たことある名前が並んでいてニヤニヤしました。たくさんのスタジオの名前が並ぶのは総力戦って感じがして好きです。シリーズを追うごとに協賛企業が増えるのも、エヴァが大きくなったのを感じて勝手に感慨深くなりました。ガンホーが名を連ねていたのも良かった。

上映終了して劇場を出てから家に帰るまでの全能感、何なんでしょうね。興奮冷めやらぬなか 一人でほくほくしながら歩いていると、世界の見え方を変えてくれます。映画のためにフルスロットルでぶん回っていた脳がそのままのスピードで視聴覚を処理することで全能感が生まれるのでしょうか。余韻タイムに存分に浸っている間までが映画鑑賞です。
駅まで歩きながら、最後の大人シンジは誰が声をやっているんだろう?という問いと、エンドロールで最後に出てきた神木隆之介は誰の声をやっているんだろう?という問いが二つ浮かんで、アハ体験のようにバチッと繋がりました。神木隆之介、お前ってやつは本当に。もし大人シンジが14年分歳をとって28歳だとしたら、神木隆之介と5月には同い年なのです。最高かよ。

余韻のまま外に出ても現実は相変わらずのコロナ禍で、道路の上の電光掲示板に「緊急事態宣言 発令中」と赤い文字が威圧していて、エヴァでも緊急事態宣言が出ていたなと思うとちょっとウケました。エヴァは終劇を迎えても人生は続くとか、クサイことを思いました。

東京オリンピックを応援しよう!という宣伝の直後にコロナ対策を流す街頭ビジョンや、自社広告の増えた駅を見て、エンドロールで流れたYostar Picturesの文字がよぎります。Netflixがアニメーターを養成する、というネットニュースも連想されます。もし2020年のオリンピックが東京でなかったら。2022年のオリンピックが北京でなかったら。考えても仕方の無いことばかりが浮かんでは消え、最寄り駅に着きました。

改札の上には、選挙の日付が貼りだされていました。前回の投票率で言えば、今視界に入っている人の3分の1しか選挙に行かないと思うとライトな絶望に口角が上がりました。後で調べたら20代の投票率は5分の1だと分かり、もはや面白くなってきました。いつぞやの選挙で出口調査のお姉さんに「若い人はいないですね」と言われたことを思い出したのでした。

最後になりますが、英題のThrice upon a timeを訳したら、三つ子の魂百まで でした。小さな頃の性格は歳をとっても変わらない、という意味です。それでも変えるべき所は変えていきたいので、私はまず選挙に行こうと思います。不可逆な世界で、人間が希望を信じ続けられますように。

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