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かわら版No.21 公共性を超えて 「タケフナイフビレッジ」「黒壁商店街」 会派管外視察③後編

いつもお読みいただきありがとうございます。2日目は、午前中の福井県武生市の「タケフナイフビレッジ」から移動し、午後は、滋賀県長浜市の「黒壁商店街」を視察しました。

黒壁スクエアを起点とした「黒壁商店街」は、その成り立ちにおいて、2点大きなポイントがあることを知りました。あくまでも私なりの2つのポイントです。1つ目は、この黒壁商店街の形成に当たっては、民間事業者が中心となって、つまり国等から補助金を取得するのではなく、民間事業者の投資のみで実施していること。2つ目は、この黒壁商店街の存続のモチベーションは、地元の祭である長浜曳山祭を開催、維持、存続するためであること、この2つが大きなポイントだと思います

長浜曳山祭の山車
長浜曳山祭の山車

わたしたちもまちづくり会社を設立して、まちづくりを実践していて思いますが、理想は民間事業者の投資だけでまちづくりが行われることです。民間事業者が自立して収益を上げながら公共性の高いまちづくり事業についても営むことができるのであれば、それに越したことはないと思います。民間事業者の強い自立意識によって公共性の高いまちづくりが実践されている、滋賀県長浜市の「黒壁商店街」は、これを平成元年・1989年から継続して30年以上になるわけです。

その民間事業者の強い自立意識の基盤となっているのが、地元の祭で安土桃山時代・太閤豊臣秀吉時代から今に途切れることなく続く長浜曳山祭です。黒壁商店街の皆様は、まちの存続と祭りの存続は同じなわけです。高度経済成長時代に商店街が空洞化し郊外に流出した時期もあったと聞きました。しかし、祭りがあることで、商店街の空洞化・郊外への流出から元に戻す大きな力になったそうです。

前回のかわら版No.20で、僕は、「公共性を超えることができるか? これは考えてみる必要がある問いです。」と言いました。福井県武生市の「タケフナイフビレッジ」のように、みんなで伝統産業を守るために会社をつくったり、滋賀県長浜市の「黒壁商店街」のように、みんなでまちに活気を取り戻すために修景によるまちづくりをしたりする、その公共性の背後には、人々の強いこだわりがあります。そのこだわりは、みんなに当てはまるような平均化されたものではなく、人々の強い願いや思い、美意識などの集成といえるようなものです。

つまり、公共性をかたちづくっていくためには、矛盾しているようですが、公共性を私秘性(個人の抑えきれない力)で突き抜けていく必要があるように思うのです。その突き抜けたエネルギー、生きる力が、まちの活気そのものになっていくのだと思います。この点で、祭は象徴的です。この度も最後までお読みいただきありがとうございました。

かわら版No.21



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