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かわら版No.19「福井県立看護専門学校」会派管外視察②

いつもお読みいただきありがとうございます。会派管外視察②は、地域の医療従者をどのように確保しているのか、昭和27年から県立の看護養成所として地域のために看護師を養成しておられる福井県立看護専門学校を訪問させていただきました。福井県立看護専門学校は、3年制の1学年40名の看護養成所です。

まず、福井県立看護専門学校の授業料は月1万円(年間12万円)です。入学金や入学審査料を含めても学生1人あたり年間約16万円とのことです。この学費の低水準にまず驚くのですが、全国では中位、北陸3県では入学料を含めると最も高い学費であるといいます。僕の勉強不足とはいえ、県立の看護養成所の授業料の安さには本当に驚きました。そして、山形県にはこの水準の学費の3年制の看護養成所は見当たりません。北陸・福井県は伝統的に看護教育に力を入れているように思います。
https://www.pref.yamagata.jp/documents/2777/gakkouitirann.pdf

また、令和5年3月に卒業就職した学生さんのうち県内の医療機関に就職した学生の割合は96.9%とのことです。福井県内の看護系大学・看護養成所・高校5年一貫校の平均66.3%と比べると、非常に高い割合とのことです。その原因の一つは、新型コロナ禍で県内就職志向が高まったことが挙げられるとのことでした。とはいえ、過去5年間の平均は84.2%とのことでしたからとても高い水準であると思います。さらに、福井県内の4つの二次医療圏の中で、看護師充足率が低い3つの地域への就職希望者に対して「地域指定推薦入試枠」を設け、入試方法も工夫するなど3つの地域への就業者の確保を図っていることのことでした。もっとも、それでもなかなか看護師充足率が低い地域に就職先が限定されてしまう当該入試枠への出願者の維持確保は難しい側面があるとのことでした。

福井県立看護専門学校は、福井県立病院関連四施設の一つとして、同じ建物内にある3つの施設(こども療育センター、福井特別支援学校、特別支援教育センター)と連携しており、こども療育センターが福井県立看護専門学校の小児領域の実習機関になっていて、エントランスを含め日常的な支援やケアが必要な子供たちやそのご家族に接する機会があることで学生さんの看護観の醸成にも効果的であるとのことでした。

福井県立看護専門学校からみた今後の地域医療の課題としては、看護師充足率の低い3つの地域での看護師の確保のほか、県内の看護系大学・看護師養成所の新卒の県内就職者は、病床数400以上の大きな病院への就職が5割強を占め、地域と密接なつながりを持つ中小病院や訪問看護テーション、福祉施設などは看護師の確保が困難な状況になりつつあるとのことでした。

最後に、福井県立看護専門学校長を兼務する福井県立病院長に、医師や看護師の確保についてご意見を伺ったところ、病院の魅力を高めることが大事であり、地道な努力を一生懸命に積み重ねていけば、必ず医師や看護師の数は増えるとのことでした。

これからは、各地元自治体において医者や看護師をどのように育て確保していくのか、課題であり腕の見せ所です。米沢市においても既存の看護師の養成所とのバランスを考えながら、より良い看護師養成ができるようにしていかなければならないと思います。そして、その前提である魅力ある地域づくりがどんな政策を推進するにしても欠くことはできない大前提です。そうした意味で“魅力ある地域とは何なのか”この点を分析し、充実した政策パッケージを具体的に構築していくことが、米沢市政の急務です※。
※米沢市の場合、“魅力ある地域とは何なのか”そのアブストラクトが足りていません。理由は、徹底した議論と分析に時間をかけていません。政策立案側のインテリジェンスやリテラシー、ビジョン、トポス、ハビトゥス、最新の研究成果や事例研究などなど分析概念がそもそもないので、アウトプットが詰め切れず脆弱になる傾向があります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

かわら版No.19


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