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真夏の夜の正夢

素敵な音楽を浴びた日 それをわたしの拙過ぎる言葉にするには余りに勿体なくて 黙りたくなってしまった

好きなバンドの話をしたら「アイドルがバンドマンを好きだなんて」と言われたことがある アイドルにもバンドにも 音楽そのものにも偏見はある 分かっている それでもその度にわたしは 自分自身そのものを否定されたような気持ちになる 
友達からの誘いをひとつ残らず断って 部活と勉強と行事の合間を縫って ライブハウスに通っていた 心の支えも生きる活力も間違い無く音楽そのものだった日々まで 否定されたような気持ちになる 
勘違いしないで わたしが好きなのはずっと音楽だ 喋るのが苦手なわたしの気持ちを代弁してくれたのは音楽だったし 思うように動き出せないわたしの足をライブハウスやCDショップに向かわせてくれるのも音楽だった 理由もない憂鬱に藻掻いて どうしてもずっと愛せなかった自分自身だったけど それに時間とお金をかける自分自身だけは許せる気がしていたの

何年も前から好きだったバンドのライブを観に行ってきました 消毒用のアルコールと検温とフロアの床に定められた立ち位置とマスクと感染防止対策の貼り紙のあるなかで アーティストのライブを見たのは初めてでした 声が出せなくても 一緒に歌えなくても その場から動けなくても そこで鳴る音楽が愛されていることは確かで変わりなくて温かくて素敵で 行ってよかったなあ、と噛み締めました 
いつもイヤホンで聴いていた声も マイクが拾う息の音も 弾けたり歪んだり響いたりする楽器の音も ライブじゃなきゃ聴けない曲間の繋ぎもアレンジも一瞬の静寂も MCもMCからの曲の入り方も 本当に本当に素敵だったなあ

ステージに立ち始めてから フロアに立つことが減って それは仕方の無いことだと 何かとそれを言い訳にしてきた気がする フロアに立たなくちゃ分からないこともあるね ステージとフロア どちらに立つことも愛せているわたしにだからこそ できることがあるんじゃないだろうか と思いました 良い休日になりました おやすみなさい

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