【南チロルの風】コラム7で紹介したワインの案内

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ブレッシア市とイゼオ湖の間に位置するフランチャコルタ地区。20 のコミューン(自治体)でシャルドネ、ピノ・ネロ、ピノ・ビアンコが作られて、それらを瓶内二次発酵で仕立て上げられた辛口のスパークリングワイン。それがフランチャコルタDOCGです。

1995年にDOCGに昇格するまでは、フランチャコルタ・スプマンテDOCという名がつけられていました。このワイン生産地の歴史は浅く、ここ30年で品質も知名度も上がってきたといわれています。もともとこの土地は貧しい農業産地だったのですが、1950年代にフランコ・ジリアーニというエノロゴが「この土地でシャンパーニュのようなワインを作ろう」と友人のグイド・ベルルッキに持ちかけたところから始まります。今回紹介する日本でもおなじみのベッラヴィスタ社は1976年にヴィットリオ・モラッティ氏が創業。1981年からコンサルタントとしてマッティア・ヴェッツォーラ氏を迎え入れ、フランチャコルタという地元色だけではなく、イタリアを代表するワイン造りに努めるようになります。その理由は、通常イタリアでは、ワイン造りをするにあたり自分の競争相手として隣人をさす場合があるそうです。しかしフランチャコルタに限ってその競争相手とはシャンパーニュです。シャンパーニュと同じ製法で造られるワインですが,シャンパーニュにはないフレッシュで柔らかい、それでいてボディーのあるワインを彼らは追求しています。それが彼らの唱えるイタリア的なるものの表現ではないかと思います。


ベッラヴィスタ社は6種類のフランチャコルタDOCD、3種類の白と1種類の赤を産するテッレ・ディ・フランチャコルタDOC、テーブルワインとしてピノ・ネロ単種のカソッテとボルドータイプのソレジーネ、そして樹齢40年近いメルローから造るツアンネの3種類と幅広い種類のワインを産する生産者です。そのなかでも今回はフランチャコルタDOCGのグラン・キュヴェ・ブリュットを紹介したいと思います。

太陽をいっぱい浴びて完熟したブドウは、会社名でもあるベッラビスタ(風光明媚)な丘陵地帯から産されます。比率は72%シャルドネ、28%ピノ・ネロです。全体の3割前後はフランス製ピエスという小樽にて発酵、そして引き続き7ヶ月の熟成が行われます。色合いは非常に輝かしい麦わら色で、気泡も細かく断続的です。香りは白い果実を連想させるようなデリケートな香りから時間が経つにつれアカシアやヴァニラのような甘いニュアンスに変わっていきます。味わいは口中に広がる細かな気泡がそのまま果実味を伴うボリューム感へと変わり、心地よい酸とミネラル感がそのボリューム感を優しく包むようなニュアンス。それが長い余韻として口中に残ります。

僕らがケータリングサービスでヒーヒー言いながらリゾットを運んでいた時も、ベッラビスタの生産者はブドウ畑や熟成ワインの管理、ルミアージュ作業など一つ一つ手作業で丁寧にワインを作っていたのですね。

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