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2023年2月のよんだ みた きいた

 まるでスズメバチに追い回されているのか、というくらい毎日が早く過ぎ去っていく。2月はどうしようもないくらいすぐに終わってしまった。2月の前半には誕生日が来て36歳になった。2月の後半には長男が5歳になった。その日は日曜日なのに仕事で三重県にいて、息子の誕生日を祝えなかった。「みてね」にアップされたケーキを吹き消す動画を見て、さらに切なくなった。

 僕は昔、スズメバチと一対一で戦ったことがある。川縁で水遊びをしていたら、気づくとスズメバチが臨戦体制になっていた。負けるもんかと、両手で水を掬い、スズメバチにかけ続ける。前へ前へと進もうとする彼と、奥へ奥へと水で押し続ける僕。なんとかその場を凌ぎ車に戻ってふうと息をつくと、バチ、バチと車の後ろを体当たりするスズメバチ。慌てて車を走らせホテルまで戻る。流石に大丈夫だろうとふうと息をつくと、バチ、バチと車の後ろを体当たりするスズメバチ。ああ、ついてきたのか。あんな距離を、あんな速度で。

 結局、ホテルの人に出てきてもらって、追い払ってもらった隙に建物に逃げてことなきを得た。どうでもいいことを思い出してしまった。では、2023年2月のよんだ みた きいた。

よんだ

「よんだ」のゆるルール
・初めて読んだ本であること
・最後まで読み通した本であること
・買った、借りた、紙、電子は気にしない

1.すべては1人から始まる/トム・ニクソン 

 はじまりを始めた人。それを受けとめて継いでいく人。そうした、想像の源にいる人をソースと呼び、そこからプロジェクトやアイデアのつくりかた、人の巻き込み方などが展開されていく。特に訳者によるまえがきと、ソースとは何かを展開していく前半に読み応えを感じる。

 組織運営のための組織運営ではなく、意志を持ち突き進んでいく上で仲間が増えていけるといい。

2.どんなかんじかなあ/中山千夏 文 和田誠 絵

 はじめて読み通したとき、衝撃を受けた。そして涙が出た。僕はまだ、障害をもつ子どもを育てるひとりの親としての覚悟が足りていない。視野が狭い。行動が遅い。だけど、というか、だからこそ、いろんなことを勉強しようと思うし、それをどんな形かはまだ見えないが伝える機会を持っていきたいと思う。

 この絵本がもたらしてくれる視座を大切にしたい。

3.社会の変え方/泉房穂

 兵庫県明石市市長の泉房穂さんによるこれまでとこれからについての本。この読んを読んでいると胸が熱くなり行動を起こしたくなる。ある意味、実用の書だ。ここ1、2年、さまざまな街の市長と対談をする機会があったりと、少しずつだが政治が近く感じるようになった。特に市政は国政と違って圧倒的に近さがある。「社会の変え方」というタイトルがすべてを物語っている。

4.縮充する日本/山崎亮

「参加」という横串で社会や歴史を眺めるアイデアと圧倒的な引用元。それが組み合わさりとても魅力的で、重層的な一冊になっている。人口減の日本が取れるアプローチを決して敗戦処理ではなく、ポジティブに捉え直すこと。この本が提案する考え方をもとに、自分たちなりのアイデアを実装することこそ、著者が望んでいることだと感じる。


みた

「みた」のゆるルール
・初めて見た/観たコンテンツであること
・リアルorオンラインは気にしない

1.障害者のための生涯学習講演会「きょうだい児も自分らしく人生を歩むために」

 つくば市が主催するセミナーに参加する。障害者の兄弟姉妹を「きょうだい児」と呼ぶということすらはじめて知る。健常者の兄弟姉妹に対して、障害者の兄弟姉妹が経験しがちなこととそこから感じてしまうこと。その先にあること。

 僕は親側の目線なので、「きょうだい児」がどんな感情を持つのかは理解できない。だが、寄り添えるようになりたい。なるしかない。

2.ピアース・ブロスナン主演の007シリーズ 

 仕事に行き詰まるとジェームス・ボンドが見たくなる。でもダニエル・クレイグ版は見飽きたのでさかのぼってみた。ピアース・ブロスナン=ボンドを全作見てみたが、これはこれで面白い。これはこれで、面白いのだ。以上。

きいた

「きいた」のゆるルール
・初めて聞いた/聴いたコンテンツであること
・購入orサブスクは気にしない

  1. Yo la tengo /This Stupid World

僕たちは、2023年に、ヨラテンゴの新譜を聴くことができる世界に生きている。もうそれだけでうれしいのに、ちゃんとかっこいいからすごい。えらい。1曲目と2曲目の流れとか、本当に最高。カーステレオで大きな音で流すとなお良い。夏にフジロックで来日するみたいだ。単独はやるだろうか。

2.Judee Sill /Judee Sill

行きつけの美容師さんにニック・ドレイクが素晴らしかったと言ったら、ジュディ・シルを教えてもらった。曲の展開、歌声、オーケストラのアレンジ、どれも本当に素晴らしい。ほぼ同期のジョニ・ミッチェルと比べると全然売れなかったそうだが、僕はジュディ・シルのほうが好きかもしれない。このアルバムは本当に素晴らしい。1枚まるごと聴く価値がある。

忙しかったけど、こうして振り返るとそれなりにいろいろ新しいものにふれている。それだけでもよしとしよう。

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