見出し画像

2023年7月のよんだ みた きいた

気が付いたら7月が終わってしまった。今日、8月1日は雷雨があり、雨上がりの街はずいぶん涼しかった。僕はミスタードーナツのオールドファッションハニーを食べながら、モグワイの「Mogwai Fear Satan」を聴きながら家路についた。午後3時ごろ、歩きながらドーナツをかじり、セミが轟音で泣き続ける中で聴くモグワイに、すでに夏の終わりを感じた。

7月はやはり特別だ。8月にはちょっぴりと悲しさがまじるが、7月はまじりっけなしの明るさがある。ただ、今年の7月は前半に思いがけず歯を痛めて、それに対応しているうちにあっという間に後半に入ってしまった。文化的健康のベースになるものは肉体的健康である。改めてマズローを持ち出すわけではないが、歯がズキズキと痛む中で自己実現などもってのほかだった。

5歳になる長男が野外で調達してくる虫たちの、夜中にカサカサと動き回る音が7月のサウンドトラックだった。彼らは懸命に動き、あっという間に死んでいった。

よんだ

「よんだ」のゆるルール
・初めて読んだ本であること
・最後まで読み通した本であること
・買った、借りた、紙、電子は気にしない

1.こうやって、言葉が組織を変えていく。/生岡 直人 ダイヤモンド社

編集者の今野良介さんが担当されている本は、なるべく購入するようにしている。お目にかかったことはないけれど、想いや発する言葉に嘘がないように感じるからだ。僕は出版業界のはじっこにいるが、「つくる側」の人と話すことはほぼない。だから、本を読んでおく。

株式会社ひらくをつくって1年ちょっと。組織を強く変えていくために、この本はとても実用的だった。僕が考えた「場と機会をつくり、うれしい時間を提供する」という理念も、1年ごとに変えるくらいの柔軟性をもっていたい。


2.ナニワ金融道シリーズ/青木雄二

歯が痛すぎて、まともに寝れない日々が続いた時に、kindle unlimitedで読み放題だったナニワ金融道シリーズにどハマりした。主人公の灰原だけでなく、登場人物が実に魅力的だ。人間の卑しさを実感するには、金貸し漫画を読むのが一番である。肉欲棒太郎が特にお気に入り。

みた

「みた」のゆるルール
・初めて見た/観たコンテンツであること
・リアルorオンラインは気にしない
・映画、展示など広義の"みた"

1.水戸市民会館/オープニング

水戸市民会館がちょうど開館するということで、ふらっと行ってみた。こんな施設が街にあったら良いだろうなというツボを押さえている。伊東豊雄建築ということもあって、注目度が非常に高い施設だった。もし僕が水戸市民だったら、ここをどう使いたいだろう。水戸芸術館とセットで考えてみたい。


2.インクルーシブ教育講演会 障害児が普通学校で過ごすことの大切さ/つくば自立生活センターほにゃら

末娘が身体障害者ということもあり、福祉や教育について自分なりに勉強する日々を続けている。そもそも、普通学級と特別支援学級の違いすらよく分かっていないくらい視野が狭かったが、ようやく、健常者と障害者を隔てる大きな壁が見えてきた。壁は透明で、高くそびえ立ち、決して崩れることはないように見える。僕は”当事者”になったので、この壁の突破方法を考えなくてはいけない。正面から壁を崩すことは出来なさそうなので、どこかに獣道的に空きがないかを調べている。

いま読み進めているインクルーシブについての本によると、精神的・身体的な機能不全に対して、それそのものを改善するための医療的なアプローチと、本人にとって最善の社会環境を試行するアプローチは分けて考えるべきだ。というところに目から鱗が落ちた。

何がなんでも普通学級に、というのは僕は暴論な気もする。本人にとってなにが最善かを、フラットに考えていきたい。

もちろん、普通にすくすく育ってくれる子供のほうが”楽”かもしれないけど、どんな機能不全を持っていようが、子供はとにかく愛おしい。大変さの度合いは、愛おしさとは関係がないことに気がついた。

きいた

「きいた」のゆるルール
・初めて聞いた/聴いたコンテンツであること
・購入orサブスクは気にしない
・心が動き数回繰り返して聴いていること

1.Penguin Cafe/Rain Before Seven

ペンギン・カフェ・オーケストラもペンギン・カフェも、僕にとってはとても身近な存在だ。ペンギン・カフェについてはもう10年以上リアルタイムで追いかけ、仕事中のBGM率は異常に高い。

来日公演も、一時期よく来てくれていたので何回も見に行った。ペンギン・カフェ・オーケストラのほうがおおらかというか、大柄なところがあるが、息子のミニマルな世界観も好きだ。この新譜もとても良い。繰り返し聴くに値する。

2.The Ballad of Darren /Blur

ブラーは「めちゃくちゃ熱心なファンではないが、結構好き」な部類にいるバンドだ。というか、かなり好きかもしれない。デーモン・アルバーンの声が一つの楽器のようで、このアルバム全体の特殊性をより高めている。

3曲目の「Barbaric」がとにかく素晴らしい。ブラーらしいトリックさがありながら、イントロのクリアトーンのアルペジオにクラクラする。こんな曲を今でもつくれるなんて、人生はなんて明るいんだろうと楽観的に感じちゃったりもする。

7月はこのアルバムを何度も聴いた。

7月のよんだみたきいたはこんな感じ。
映画を全然見なかった。「君たちはどう生きるか」はどこかで見に行かねばと思っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?