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Arrival(2016/Denis Villeneuve)

いつか必ずそれを失うとわかっていても、私たちは誰かを愛するだろうか?

終わりに向かって進む関係に意味はあるか?

いつか、必ず訪れる耐え難い喪失を引き受けたとしても、愛の日々や共に過ごす時間を選ぶことができるだろうか?

しかし考えてみれば私たちは皆、例外なく自らの死という最大の喪失に向かって進んでいる。

自分以外の他人とはいつか必ず別れが来る。それが死別ならなぜかなにかを全うしたかのように思えるけれど、結局のところ永遠に一緒にはいられないというのは同じではないか。

それでも私がその人とその場所にいて、同じ空気や匂いを感じ、もう忘れてしまった言葉の数々を交わしたということは、そのひととき、たしかに一緒にいたという事実は消えない。

そして、もしかしたらそれだけが、ちっぽけな私たちに叶えられる唯一の永遠なのかもしれない。

いつか必ず失うことをわかっていても、愛することは美しい。私たちは誰かを愛さずに生きていられない。

本を買います。たまにおいしいものも食べます。