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まろやかな狂気に染まった、アキバ発シブヤ経由サブカル行きブラリ途中下車、その2。

前回「でんコネ」のパッケージにまつわる話で終わってしまったので、今回改めて「まろ狂」の装幀について話したいと思います。

雑誌「MARQUEE」にて、ねむちゃんが連載していた「まろやかな狂気」を一冊の単行本にまとめるからその装幀一式をお願いしたい、とオファーしてもらったんだけども、どうしてボクにオファーしてくれたのかな?と「でんコネ」からの時系列をざっくり調べたら「でんコネ」から「まろ狂」まで(時間的)道程は意外に長かったので、それはねむちゃんとの「往復書簡」で詳しく記述したいな、と思います。

あ!待てよ。
そういえば「ぱっしょん」のジャケット写真撮影終了後、スタッフ含めた全員の記念写真を撮って、その時に、、、、
ん?そういや、あの写真どこいったんだ?
ちょっとHDを探しますんで、しばしお待ちを。



あった、あった!
実際の写真は「往復書簡」の方で(たぶん)お見せするとして、こちらでは思いっきり雑なイラストでご覧ください。

でんぱ記念写真


これを見たら思い出したことがあって、そこから「まろ狂」までのエピソードは「往復書簡」で番外編的に書こうと思います。


では「まろ狂」のデザインについて書きたいと思います。(もともと、ここはデザインについて語る場所ですものね)


まず、ねむちゃんから「新潮文庫みたいな、時代に流されないクラシックなデザインにしたいな」という要望を貰いました。
ねむちゃんの本好きは知ってたし、こういうお題は得意ですし、「時代に流されない」「クラシック(単なる『古典』という意味ではなく、『クラシック』はヒップホップで言うところの「過去の名作』という意味でもあるから、過去の連載をまとめた一冊という今回にはピッタリ!)」というアイデアは大賛成でした。
世の中に興奮することは沢山あるけど、やっぱり一番興奮するのは、あの新潮文庫の表紙がペパーミントグリーンになることでしょ。そうでしょ?

表紙のデザイン構想はすぐに固まったので、あの象徴的な「葡萄」に替わる題材探しです。
やはり、ねむちゃんをモチーフにしたいと思ったので、女性のイラストを著作権フリーの素材から使用する、という方向で進めることにしました。
ネットで探しても、なかなかピン!と来る素材が見つからず、結局は古本屋を巡ってフリー素材を集めた画集を片っ端から見て探す、というクラシックで時代に流されない方法で見つけ出したのが、表紙の女神です。
タイトルのタイポグラフィーだけは、既存のフォントをそのまま使うのはあんまり気分じゃなかったので、少しだけ加工しました。それ以外はクラシカルなフォントを選んで使ってます。

これが、表紙デザインです。

「まろ狂」表紙

まさにペパーミントグリーン版新潮文庫の趣き。
これですよ、これ。

で、当初から「オビは付けたい!(本好きなねむちゃんらしいこだわり)」「使いたい写真がある!(美大出身のねむちゃんらしいこだわり)」と、ねむちゃんから聞いていたので、オビを付けた状態/オビを外した状態のどちらでもバランスがダサくないデザインを心がけました。
昔の洋楽レコードの日本盤なんか、後から日本で勝手にオビを付けるもんだから、一番大切な本人の顔が隠れてるなんてジャケットが沢山ありましたからね。

で、オビ付きのデザインがこちらです。

「まろ狂」表紙オビ付き

そうです。
ちょうどオビで隠れる位置に、あの女神を配置しました。
オビを外すと、手に本を掲げたねむ女神が現れる。
素敵じゃないですか。

ちなみにオビの裏表紙側の写真は、ねむちゃんから「コレとコレ、どちらが良いですか?」と訊ねられ、ボクと松本さん(MARQUEE編集長/「まろ狂」編集担当)のオジサン二人が「こっち!」と選び、ねむちゃんが「男目線も大事だから、じゃあこっちで」と決まった写真を使用してます。


本文デザインに関しては、新潮文庫的な要素はもちろん「教科書的な、淡々とした雰囲気で」という要望だったんだけども、それには「私、自分の本に色々書き込みしちゃうタイプだから、これもそうなって欲しい」という、ねむちゃんの想いがあったんです。(あとがきで本人も書いてたけど、改めて伝えておきますわ)

ちなみに、各章トビラのイラストも最終的には全て見つけてきたフリー素材を使用しましたが、当初は内容に沿ったイラストを描き下ろす案もあり、そのためにボクが描いたアイデアスケッチも公開します。

まろ狂_1

まろ狂_2

これはこれで攻めたデザインに仕上がるかもしれませんが、今回はそこが目標じゃないのでボツ。
何より大切なのは著者であるねむちゃん本人が「良い!」と思ってくれること。
「私の本です!」と世間にむねを張って広められるような手助けをすること。その一点に尽きますよ。

果たして、ねむちゃんも大いに気に入ってくれたデザインに仕上がった一冊となりました。

この案件を引き受けるにあたり、ひとつだけ不安要素というか、「どうなるかな?」と思っていたのが、ねむちゃんが美大出身だということ。
つまり「船頭が二人いる」状態に成り兼ねない、ということ。
でも、ねむちゃんは自分のアイデアを出したら、あとはボクに任せてくれるというスタンスを貫きました。
ここが、ねむちゃんの素晴らしいところです。
「餅は餅屋」ということをちゃんと知っているねむちゃんのこの行動には「さすが!」の一言です。
自分もデザインを勉強してきたからこその紳士な行動だったんだと思います。
逆説的に、そういう態度こそが本当の意味で、このデザインをディレクションしたんだと思うんですよね。

そんな関係性を引き継いでの続編「まろ狂2」のデザインに関しても、またいつかここでお話できればいいですね。

もし、まだ「まろ狂」を手に取ってないという人がいたら、この機会に是非お買い求めください。
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