当時アメリカにいた私。アメリカ同時多発テロ【911】を振り返る。
2001年9月11日朝。
アメリカオレゴン州・ユージーン。
電話の音で起こされた。
ホストファミリーのお母さんからの電話だった。
私はすぐにテレビをつけた。
そこに映し出されたのは、私が10日ほど前に写真に収めていた【ワールドトレードセンター】に飛行機が突っ込んでいる衝撃的な映像だった。
アメリカに留学中だった私は、その年の夏休みアメリカ一周旅行をしていた。それは、タイ人の友人と2人、アムトラック(アメリカの鉄道)に乗ってする貧乏旅行。
アムトラックに乗ったまま、シャワーも浴びず、数日間移動を続けるという箇所もあった。いやー、あれはあれでめちゃくちゃ楽しかった!
西から東へ横断し、下から上へと縦断し、そして東から西へ横断してオレゴンに帰ってきた。それが9月10日の夜のこと。約1ヶ月半の旅を終えて、久しぶりに自分のベッドでぐっすりと寝た。
そして翌日9月11日の朝。ホストファミリーのお母さんからの電話で、私は目を覚ました。
その日、9月11日は母と兄が日本からシアトルを経由して、私が住むオレゴン州のユージーンに来ることになっていた。
母と兄は幸いに、前日9月10日には日本から既にシアトルに到着し、そこで一泊。9月11日にシアトルから車でユージーンに移動してきた。
もし母と兄が9月11日の事件後にアメリカに到着する飛行機に乗っていたら、アメリカ国内に着陸すらできなかった。
ニューヨークから4500km以上離れている西海外のオレゴン州でも、ショッピングモールや映画館などは数日間閉鎖された。
この事件の記憶として、もう一つ私の頭に鮮明に残っていることがある。
9月11日事件は火曜日。その週末にもいつも通りにホストファミリーと一緒に教会の集まりに参加した。その集まりで、皆が心の不安をそう話した。
いつものように、皆で円になって座り話した。その日はいつまでも先が見えない話し合い、不安のぶつけ合いが続いた。
翌年の2月に、私は日本に帰国した。
その後、東京で開かれた911の写真展を一人で見に行った。
そこで眼にしたのは、" The falling man"という一枚の写真。
AP通信の写真家リチャード・ドリュー(Richard Drew)が撮影した、アメリカ同時多発テロ事件発生時に、ワールドトレードセンターから落下する男性を写したもの。
リチャード・ドリューは次のように語っている。
今から21年も前の事件。私の娘たちは知る由もない。
私があの頃体験したこと、当時の記憶や感じたこと、それらはずっと私の中に鮮明に残っている。
毎年の9月11日には、それらをちゃんと娘たちに伝えていく。
染
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