MIU404ってドラマが最高だよねって話

2020年の振り返り書こう書こうと思いながらいつの間にか年が明けてはや一ヶ月経ちそうでまじ時間の流れ早い怖い。でも2020年の私の振り返りとかどうでもいいわーってなるくらいどどどっとハマってしまったものがあるので一先ずそれに対しての思いの丈をぶちまけようと思う。白状しよう。結論から言うとここ数年間必死に押し殺してきた私の中のオタクが顔を出してきた。後述するドラマの所為でそりゃもう軽率に顔を出してきた。こんなに何かに夢中になったのはいつぶりだろう…これを人は沼と呼ぶ…

金曜ドラマMIU404。本来であれば2020年の春夏クールだったものの、コロナ禍で初回放送は6月末に延期、撮影は異例の半年に及んだと言う。
前置きはいいんだ。もうね、やべえよこのドラマ。の一言。オタクの心鷲掴み。星野源への愛が止まらない。やべえ。何がやべえって全部やべえんだけど、脚本、演出、キャスト、音楽、全部いい。やべえ。最高。語彙力どっかに置いてきた。キリがないのでちょっと纏める。どちゃくそネタバレしまくってますごめんなさい。そして観てない人からしたらまじで意味わからんはずです。ごめんなさい。だから観て。因みにこれを契機に中の人の星野源という沼にドボンしたんだけどそれについては度がすぎてキモいので割愛する。キモいって書いたけど正直MIU404に対する熱量もだいぶキモいと思う。一応わかってる。

MIU404のやべえ所①キャラクターと配役が最高

これに尽きる。ドラマの良し悪しを決める要素は色々あると思うんだけど、キャラクターの重要性はすごく大きいと思っていて。ワンピもNARUTOもハリーポッターもそうじゃん。名作にキャラクターの魅力は必要絶対条件。ルフィ嫌いな人類いる?いなくね?私は死の外科医が堪らなく好き。格好良いよね。推してる。早く麦わらの一味に入れば良いのに。因みにNARUTOとハリーポッターは私の中で同じ話だと思ってる。脱線した。
MIU404は兎に角キャラクターが良い。脚本の野木さんは"正義"を切り口に登場人物それぞれの色を出していると言っているんだけど、キャラクター全員に信念がしっかりとある。だから台詞に説得力がある。構成の素晴らしさは勿論あるんだけど、構成力が前に出過ぎて無くて、あくまで登場人物達が物語を動かしてるのだと感じさせるくらい、全員が生き生きとしてる。
主人公2人が決して善人の正義のヒーローでない所もこのドラマのポイント。マウント取らないと死んでしまう病に侵されてるヤンキー伊吹藍と相棒殺しの異名をもつ志摩一未。パワーワードすごい。無理好き。
キャラクター同士が影響され合ってる様子も丁寧に描かれていて、1話と11話での変化も面白い。例えば、1話で俺の勘は当たると豪語し、聴取の間メモ1つとらなかった伊吹。6話では志摩の過去の真相を探る為、緻密に根拠を積み上げる捜査をするまでに成長を遂げている。1話で自分も他人も信じない、と記憶や勘と言ったものを全く信用しない捜査をした志摩。10話では自ら「勘」で久住が犯人ではないかと思わず口にする。互いに少しずつ、影響し合っていることを示唆する場面である。
極め付けが配役。俳優との相性。この俳優のこれ、見たかった!が詰まってる。言葉を借りると、良い人でない星野源。生涯を通じて童貞の役が多すぎると自身の著書で告白しているが、良い意味で視聴者の期待を裏切る、志摩一未のキャラクター。頭脳明晰、冷静沈着と番宣でフリがあった癖に、突然キレ散らかす、口が悪い、その振り幅に愕然とし、虜になる(私情)。麻生久美子も、珍しくキリッとした女性初の機捜隊長役。時効警察や泣くなはらちゃん等、比較的柔らかい役柄が多い印象だが、本ドラマでは男社会の中で闘う凛々しい役柄を演じている。女性だから、ということを過剰演出するでもなく、あくまでただここで働いてるだけ、というスタンスを貫く姿が堪らなく格好良い。

MIU404のやべえ所②脚本が抜かりない

ここ最近のドラマの傾向として、勧善懲悪もの、即ち、誰が悪者で、悪者は最後にちゃんと裁かれるよね?という世の中に迎合するようなものが評価され易い傾向にあると思う。それだけ皆が世の中や自分の今いる環境に疲れ、不満を持っているのだと思う。それも勿論、わかる。だけどちょっと思うのが、現実ってそんなに正解不正解が分かりやすいのかってところ。そんなに綺麗に物事って片付くのかってところ。
野木さんの脚本は、予定調和でない、現実の厳しさ、後味の悪さも確りと描いている。
例えば、3話の虚偽通報の高校生達のその後。無事に捕まり、一件落着、の後にはSNSで顔写真や実名を晒され、必要以上に世間から制裁を受けることになる。描かれていない彼らの未来は、果たしてどうだろう。桔梗が願う、5年後10年後の治安を担うはずの子供達は少年法だけでは守れない。法で掬い上げられるはずが、きっとその傷は彼らの未来を少しだけ蝕ませる。その連鎖は、簡単に断ち切れない。
例えば6話。6年前の真相に辿り着き、香坂は自殺ではなく、警察の誇りを持ったまま事故で死んでいったと分かる。しかし、志摩が香坂を追い詰めた要因の一つであったことには変わらないし、その罪の意識は拭えない。しんどさは変わらなく、志摩はこの先も香坂の死を思い出させるウイスキーを飲めない。トラウマはそう簡単に乗り越えられるものではないのだ。それ程に人の死は暗く重くのし掛かり、残りの人生はその重さを背負いながら生きていかなければならない。
さらに11話。8話で罪を告白し逮捕された蒲郡はその後、伊吹との面会を拒絶している。高校生の頃蒲郡に救われた伊吹は、それ以来、信じることに重きを置いてきた。2話でも描かれている通り、信じたいと思ったものをただ純粋に信じる。蒲郡の罪を知り、自身が彼に出来たことの少なさを突きつけられ、伊吹は生まれて初めて、自分の軸が揺らぐこととなる。現在進行形で描かれる伊吹の葛藤に、甘い救いはないのだ。
一筋縄ではいかない現実がある。しかし、最終話では「未来を優先」と声を荒げる我孫子の一言が、また少しだけ、私たちに希望を見せる。オリンピックは無かったけれど、でもこの世界線だから伊吹と志摩の2人は今も生きている、ゼロ地点からまた始めるのだというラスト。
現実は厳しい。社会には理不尽が溢れている。犯人は捕まれど世の中は一向に良くならない。やはりそれでも、僅かな希望は確りと描く。これがまた、憎い。2020年、ずっと苦しかった。ずっとしんどかった。コロナ禍で疲れ果てた私たちに、また前を向いて歩く希望を見せてくれたのだと思った。
もう一つ、野木脚本の素晴らしい所は、視聴者に押し付けがましくない所。ちゃんと余白を残している所。こういう社会性の強い内容は、奇しくも、悪いのはここだよね、ねえそうでしょ?と押し付けになりがちな面を、上手くぼかしつつ、あれ、本質って何だっけ?と視聴者に考えさせる余白を持たせている。
象徴的なのが、11話で久住が事情聴取で「俺はお前たちの物語になんかならない」と言ったきり、黙秘を貫いている描写。被害者には悲しい物語があって、加害者にも同じくらい悲壮な物語がある。果たしてそれは真実なのか。人は凡ゆる出来事に善悪を、表裏をつけたがる。それはたぶん、救いを求めているからだ。心の落とし所を見つけたいからだ。そんな当たり前としていたことは、このドラマで容易く覆される。何が正しくて、何が間違っているのか。何が真実で、何が正義なのか。果たしてその真実は、正義は、その先に目指す未来はあるのか。
今このタイミングだからこそ「正義」の話をするべきだと、野木さんが伝えたいことはここに全て詰まっているのだと思う。

MIU404のやべえ所 ③エンタメを忘れない

一言で、米津。まじ米津の力半端ない。尊い(私情)。内容はめちゃくちゃ重い、シビアなんだけど、何があっても主題歌感電に帰着するところ、ポップさを忘れないところが何よりの魅力。ちゃんと、ドラマになっている。これはエンターテイメントなのだと、断言できる。オーディオコメンタリーでもある通り、このドラマはLemonじゃない。感電なのだ。これに激しく同意してくれる人は間違いなく米津ファン。因みに全話、感電が流れるタイミング、歌詞とドラマのリンク感、秀逸過ぎて震えが止まらないからそこも注目してほしい。あれはもはや上質なPV。音楽カットせずにどうやったらあんなにどんぴしゃに映像と音楽が合うのか。6話の志摩が香坂のマンションの下で謝るところとか、8話の屋上のシーンで返事はいらないってとことかね。最終話とかね。まあ、観て。とりあえず観てほしい。観たらわかる。

他にもめっちゃある。予想できない展開、テンポの良さ、主演2人の掛け合い、衣装、岡田健史の使い方。書ききれん。とりあえず、つべこべ言わずに観てください。観たらわかる(2回目)。

あああ続編、続編やってほしい。MIU404の世界観をずっと供給してて欲しい。ただ実際問題、このドラマの世界観からすると続編とか映画化ってものすんごく厳しいなって思ってるし分かってる。わかってる。時間軸どうすんだって話。警察署内の異動も当然あるし現実とリンクさせてるのがこのドラマのポイントだから、時間経っちゃうともう同じキャストだと難しくなるんだよね分かる。死ぬほどわかってる。生涯機捜ってあり得ないもんな…しかも機捜でなくなったらMIUじゃねえもんな……悉くなんてもの作ってくれたんだ野木さんってなるよまじですごいこんな緻密なドラマある?最後の希望はものすっっごい速度で2021年内にドラマでやるしかないな…冬クールで。TBS頼む。それまでもう再放送しかしなくていいから冬クールに全力投球してほしい。できることないけど手伝うから。

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