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Theme-1 徒歩

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8

景色が過ぎ去ったのが分かる。

選んでもよかったもう一つの路が、少しだけ後ろに見える。

その気になれば後戻りもできる、遠くはない距離だ。

だけど僕の心は、そこにはなかった。

7

立ち止まったときに、何をするのかを考えておこう。

座って休む時でなく、ただ、立ち止まったときに。

前にも後ろにも、右にも左にも、上にも下にも動かない、

つかの間の永い時間。

動きを止めた風景。

動きを止めぬ風景。

次に歩き出すまでの静寂の中を過ごす、その方法を。

6

そして、一歩一歩を楽しむこと。

5

歩く時に疲れないコツは、心と体の重心を合わせること

4

走りだした君とはお話できない

もし歩く時がきたらまた会おう

3

どうやら、世界の広がりよりは遅いみたいだ。

ふと、(2)

ふと、気がつくと、荷物が増えている。

ふと、気がつくと、日が暮れている。

ふと、気がつくと、心が弾んでいる。

ふと、気がつくと、匂いが変わっている。

ふと、気がつくと、歌を口ずさんでいる。

ふと、気がつくと、鳥の声が聞こえる。

ふと、気がつくと、道が変わっている。

僕は、歩き続ける。

ふと、

ふと、気がつくと、歩みが遅くなっている.

ふと、気がつくと、方向を違えている。

ふと、気がつくと、リュックが肩からずれている。

ふと、気がつくと、靴紐がほどけている。

ふと、気がつくと、喉が渇いている。

ふと、気がつくと、気を急いている。

ふと、気がつくと、姿勢が崩れている。

ふと、気がつくと、お腹がすいている。

ふと、気がつくと、寒さが増している。

また、歩みなおす。

3

僕は、僕の、歩く速度を知らない。

徒歩 2

走ってはいけない。一歩一歩の景色の記憶を、心に留めなければならない。

徒歩

一つ一つ地に足を付けて歩くとき、このまま本当に目的地につくのか分からなくて怖くなる。けれど電車の止まらないあの場所の地面を踏むと決めたからには、自分は歩かなければいけないんだ。幾筋もの道を選び分けて。