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宮城磯マル完全マニュアル(1/3)

24/2/8記

磯のマルスズキゲーム

今回は宮城県の磯でのマルスズキゲームについて簡単に書いてみようと思います。春から秋がシーズンで、シーズン初期は特に大型の個体が出やすいこともあって人気のゲームです。終盤になるとリバーやサーフが終了しても魚影が濃いこともあり暫く楽しめるのが非常にGOOD。もう間も無く始まるのが楽しみです。

磯でのスズキ釣りというのは、どうしても磯ヒラのイメージが強すぎて「サラシの中をルアーを漂わせて…」という印象を持ちがちですが実際のところサラシ撃ちでキャッチできるシチュエーションの方が少なく、ワンドから出るカレント(離岸流)や藻場のウィードエッジを攻める方が多数派です。

86センチの大台。素晴らしいクオリティの個体です。

このゲームの面白いポイントは群れに当たった際にサイズや数が出るのもさることながら、着いていそうなピンに明確に魚が着いていて素直に反応がもらえる事も多く、また食いにくい状況でもリバーや港湾でのメソッドを応用してテクニカルに釣っていくことも出来るところ。魚のクオリティーも抜群にいいのも魅力的です。

変に混雑しているエリアで不自由な釣りをするよりもやり方次第では高いゲーム性を楽しめる釣りでもあります。

●魚の行動パターンを知る

海のスズキ釣りというのはリバーゲームに比べてのっぺりとした潮の流れ、明確な地形変化の不在、膨大な数の縦ストラクチャーや沈み根。初見だと何処で何をすれば良いのかわかりません。

「釣りが上達する為には魚を釣ることが1番の近道」だが魚を釣るには釣り方がわからなければ釣れない。このジレンマにどう対処するかが本当のところ、1番知恵を凝らさなければならないポイントです。

基本的に魚がいる場所でルアーを投げれば釣れるわけですからスズキの居る場所、回遊ルートを特定できればあとはルアーの種類やテクニック、手数、通い込みを増やせば自然と釣れるようになるはずです。

磯の場合、大きく分けて2パターン知られているのが、「回遊」「居付き」の釣り方。とは言っても明確に異なる個体群である、という区別があるわけではなく単に狙い方の違いだとも言えます。

ワンド内の藻場や岩盤のスリットなどに定位しているスズキを狙うのが「居付き」のパターン。岬状になっている足場から沖の潮流に着いているスズキを狙うのが「回遊」のパターン。

●サーフかロックかリバーか

何故回遊と居着きに明確な違いが見出せないかと言えば、居着きであったとしても潮回りによって明らかに魚の個体数が変動していたり、逆に回遊といいながらも、潮が動きさえすれば同じ潮目からずっと魚が釣れ続けることもあるからです。

実際には沖にいる小さなスクールが束になってショアラインを回遊し、条件の良いワンドにその一部の個体が居着くというような半回遊的な生活サイクルを送っていると思います。

ともかく問題は魚に対していかなるアプローチをするべきかという部分。リバーに比べればほとんど流れが無いに等しいし、サーフの様にわかりやすい離岸に陣取って潮が動くのを待っていれば釣れるわけでもありません。

そこで磯マルに挑戦し始めたばかりの人やアプローチをもう一手増やしたい人におすすめしたい釣り方がひとつあります。川でもサーフでもロックでも堤防でもいいので「普段やってる得意な釣り」の延長で取れる魚を増やしていく方法です。

個人的な経験論としてはロックアングラーは外道でスズキを釣ることが多々あるので専業で狙ったとしてもピンから魚を出すまで1番早いが回遊は苦手、サーフやリバーがメインのアングラーは回遊では釣れるけどピンは苦手な傾向があるように思います。

これは普段やっている釣りの影響が極端に出ているケースで、実際磯マルはどのアプローチがどういう個体群に有効か明確な傾向があるのでそこを押さえるのも重要なポイントだと言えます。

●ピンポイントとオープンエリア

回遊してきたスズキは沖の流れと地形変化や潮流が変化するポイントに陣取りながらワンド内部へ入ってきて藻場やシモリ周りに着きます。なので居着きを狙う時はワンド内をピン撃ちで探して、回遊を狙う時はオープンエリアにある潮流変化やブレイクラインを切って行くようにサーチすると効率的です。それぞれの狙い方について簡単に解説してみます。

●ピンの釣り

磯マルといえば春は藻場ゲームが1番有名です。ホンダワラやアカモクのようなモジャモジャ系の海藻が鬱蒼としているポイントで、ウィードエッジやポケットにプラグを通して食わせます。

モッサァ…♡

言ってしまえば縦ストラクチャーとシェードの絡む釣りです。ゆえに使用ルアーはウェイク系やシャローランナーなどがメイン。堤防のキワやエグれたシェード沿いの魚を狙うメソッドでOK。

ワンド内の藻場撃ちで出た一匹。太くて黒い個体が多いのが特徴。

単に藻場があれば良いというわけではなく、海藻の背丈や規模、沖の流心までの距離なんかも結構重要かもしれません。バスマンやロック勢はこの釣りから入った方がイメージしやすく楽しめるかと思います。

●シモリ根、飛島、サラシ、スリット


ワンドの内部だけに限らず切り立った磯場で比較的流速の早いエリアだと特に魚が着きやすいピン。ワンド内のカレント+シモリはピカイチです。

スリット。縦割れの深度が深いほどシェードが出来やすい。ピーカンの日中でも比較的魚影がある。

水面から頭を突き出した飛島は一方向から流れやウネリが当たっていると一級の縦ストラクチャーになります。サラシ撃ちの場合は岩に乗った水が払い出すタイミングでルアーを入れると比較的食わせやすいです。

レンジは最初はサラシの下まで潜らない程度に泡の中を漂うような通し方が良くて、そこから徐々に深くしていく方が反応は続きやすい。見落としがちではありますがレンジより「ルアーの滞空時間」がバイトまで至るため条件である事が多々あります。つまりサラシに乗ったルアーがなるべく低速で漂わないと食わない場合です。ミノーのアクションピッチでは食わない場合ヘビーシンペンをサラシに漂わせると連発するというパターン。

まあ、シーズン通して実際には高水温時、低気圧接近時以外はサラシそのものには魚が付いてない事が大半で、サラシが巻いているポイントでヒットしたとしても、サラシそのものがフィーディングのキーになっているのか、単にドン深の岩場に縦ストとして着いているのか見極める事も魚をより釣るためには大事なポイントです。


飛島…切り立った岩礁に一方向からウネリが当たってサラシが広がっている場合、ウネリが当たる面を狙いがちですが(サラシが広がるので)狙い目は逆側である場合が結構あります。岩に当たった水によって反対側が程よい一定の流れ、深さが確保されるのでそこに魚が付きます。詳しくは後述します。

図解解説

●ワンド攻略

次に航空写真を用いてワンドを中心に実際に立ち位置、トレースコース、またルアーについて簡単に解説してみます。以下の写真はGoogleマップからテキトーに引っ張ってきた「いかにも」な典型的なワンドの写真。

いかにもって感じのワンド。綺麗な弧を描いています。
●赤:離岸流
便宜上、沖に向かってまっすぐ流れが入っているように書きましたがナナメ方向に入っている事が多いです。まずどの向きにワンドから流れが払い出しているか良く観察して下さい。ルアーを流して見ればどの方向に走っているか分かります。

●黄色弧:ワンドの地形
どのワンドも弧を描いて湾曲して両サイドが突き出した岬状の地形をします。

●黄色✖️:ワンドの弧の両縁・岬
波っ気があるとこの両縁でサラシが巻きます。サラシを狙う時はサラシの下を通さずサラシに巻き込まれてルアーが漂うようなイメージでルアーを通します。

●シモリ・飛島
本命ポイントです。岬周辺には頭を水面から飛び出した飛島が見えます。ワンド内にも海藻やシモリがたくさん見えます。離岸流+シモリ根が1番シーバスが着きやすいです。これは根じゃなくて海藻なんかでも良いです。とにかく離岸流の中に何かストラクチャーとなるものがあると良いです。


どういうシチュエーションであるのか簡単なイメージが着いたかと思います。次にルアーの通し方について軽く解説します。

●赤:離岸流
●青:立ち位置
●黄:ルアーのトレースコース
●白:理想的なバイトゾーン
これがベストなイメージになります。離岸流に乗ったルアーがドリフトしながら足元に帰ってきます。ルアーがドリフトの弧の頂点に来たときに食いやすいです。したがって、先程申し上げた通り狙い目は「離岸流+シモリ根」なので、ルアーを巻いて弧の頂点に差し掛かった時にルアーの真下にシモリがちょうどあると良いトレースの仕方と言えます。


完全なピンではなく、ややオープンの「大体このへん」というちょっと抽象的だけど1番出やすい攻め方。これをベースに組み立てると場所を問わず安定した釣果を出しやすい基本的なメソッドです。

勘の鋭い方はお気付きかと思いますが、これはサーフや河口でするドリフトの釣りです。そして次は、立つべき足場はどこか?

●赤:離岸流
●黄色:ルアーのトレースコース
●青○:立ち位置
つい広範囲を探れる岬に立ちがちだが、無理にワンドの両サイドでやらずとも、サーフゲームのようにゴロタ側からルアーを流れに乗せてやるのも一つの手です。


ほとんどのポイントでは沖に向かってまっすぐ流れが入っている事はなく左右に角度が入っていることが大半です。

なので、良い立ち位置は離岸流の払い出す方向を考慮したうえで「狙いのポイントに狙い通りにルアーを流せる」足場になります。

この写真のように、斜め左に払い出している場合、岬ではなく浜側から撃った方がよく釣れます。広範囲を探れるので良さげな岬側からは意外にもルアーは塩梅よく流せずバイトが取れないケースが出てきます。ルアーはただ泳げば釣れる訳ではありません。特にスローなトレースに反応する場合は尚更です。

さて、なぜ離岸流は斜めに流れるのか?この疑問が実は回遊の群れを見つける重要なポイントでもあります。そのエリアに魚が仮にいるとしてワンド内部まで入らない場合どこにいるのか。

●回遊の魚を狙うポイント

●赤:離岸流
●緑:潮流の本流
●青:立ち位置
●白ギザ線第1ブレイク
●紫ギザ線:第2ブレイク

「潮通し」という謎の便利ワードを釣り情報では良く見かけますが、磯マルについて言えば具体的にそれが指してるものは「沖の潮」の事です。港湾で想像するのは海水がジワジワ上がって下がる潮位変動ですが、スズキの通りやすい磯場を探すときに重要なのは「潮位差による流れ+海流そのものの流れ」です。この2つの流れが入っているポイントは高確率で群れが回遊してきます。

それはリバーゲームでも同じで爆速エリアはちょっとした変化に魚がタイトに着きやすい。この流れがある上で、魚が着きそうな地形変化があるとなおのこと良い。離岸流は払い出す際に本流に引っ張られていくので斜に流れていき、それがどの向きになるかは沖の本流がどう流れるかによるため毎年、毎回、同じパターンで釣れるとは限りません。

これが結構な泥沼要素で博打的な釣りになりやすい磯マルでは過去の釣果や伝聞情報に惑わされて追いかけすぎると迷子になってしまいます。なぜその時そこで釣れたのかを見極める事が最も肝要です。

サーフと同じでワンドの出入り口、沖の澪には必ずブレイクが入っていてその周辺に魚が固まっていることがあります。そして満潮になるとワンド内に入ってくる。あまりにもそういうパターンが多いので冒頭では「群れは回遊しながら、ワンドに一部の個体が入ってくる」と申し上げた次第です。

緑:沖の潮
赤:離岸流
青:立ち位置
白ギザ線:第1ブレイク
紫ギザ線:第2ブレイク
黄色:トレースコース

沖側に魚が集中している場合はこのようなコースでルアーを通して探っていくと良いです。

ブレイクを舐めとるように全方位を刻みながら通しても良いですが、1番美味しいのはちょっとした岩でもいいので「ブレイク+流れ+ストラクチャー」の条件が揃う箇所を集中的に狙うと効率的です。

もちろん離岸流の払い出しと潮流の合流(上図だと赤×緑)のラインも有望です。これらの釣り方は「縦ストラクチャーに着いたピンの魚」ではなく「流れに着いた魚」なのでアプローチが合わなければ食わせるのが少々難しいです。リバーゲームの要素がここいきなり入ってくるわけですね。

今回はここまでにします。次回マル秘メソッドやルアーなどを紹介したいと思います。では。

part2はこちら。

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