【有料記事】追波川シーバスガイド前編【4月-7月】

はじめに


今回は有料記事にて追波川のシーズン全体を通した解説記事になります。北上川水系全体ではなくあくまで追波川のみに限定します。全体で約8万字程度の内容で、現時点では3編構成です。新書の本でやや少なめのものくらいの文字数になりますが、有料記事ですので内容的には妥当な情報量になると思います。

基本的に釣りの腕は釣行回数と継続年数に比例しますので、この記事の内容を把握できれば1-2年毎晩釣りに出掛けて得られるのと同じくらいの知見を獲得し、釣果目標達成までの時間的コストを大幅に圧縮できると考えています。

本シリーズでは具体的に"どの場所からどういうルアーを投げれば釣れる"のような初心者詐欺は一切しません。当然のことですが、自然相手の釣りは環境パラメーターに対してどう適合戦略を取るかという知略ゲームですので、いついかなる時も通用するメソッドは存在しません。

したがって本稿で提示する情報やメソッド、戦略はアングラーの基本的な洞察力や戦略構築のレベルアップを目的としています。つまり本気でアングラーとして成長したい方や、もう一段階上のステージに行きたい強い願望を持っている方を対象としています。



本稿では水温データや映像など具体的な情報を開示しながら、どのタイミングにどのエリアを選択すべきかという基本的なセオリーを提示し、またベイトパターンやルアーセレクトについても詳細に内容を書いていきます。

よって、需要があると想定されるのは県外からのビジター、釣行回数を確保出来ない方、追波川に通いながらも現状に満足出来ない方向けになるかと思います。


川のポテンシャルとしては週1-2回の釣行だとしても基本的な部分を押さえていればシーズン通して90upは2本、80アップ10本、サイズ問わなければ300本以上は獲れるはずです。


追波川という川

釣り人にとって「オッパ」とは北上川水系のなかで、北上大堰から追波湾までの区間を指します。本稿ではそれに準じて追波川=北上川として扱います。 

岩手県を水源とする当河川は歴史的にはもともと市街を流れる旧北上川が鹿又から分流して追波湾へと注いでいました。現在の正式名称は北上川であり、昔からの追波川は福地水門から旧北上川の梨木水門まで。北上川は流路延長249 km、流域面積10,150 km2は、東北地方の河川の中では最大で、日本全国では4番目の規模です。

1911年〜1934年までの工事によって、北上川は直接追波湾へと貫流し、鴇波洗堰から旧北上川へと分流しました。現在では正式名称としての追波川は旧北上川と北上川を結ぶ水路のような部分です。

地形上、追波川の方が北上川の本流のように見えますが機能的には旧北上川が本流で北上川=追波川が排水路ですので流速は旧北に比べて非常に遅いです。しかも北上川水系全体が傾斜のほとんど無い平野を流れているため尚更遅いのです。

旧北上川を引き合いにだすと、豊里付近の川床は旧北上川河口の平均水位に対して+1m程度しかありません(国交省データ)つまり30kmの距離で落差1mしかありませんので、どれだけ緩いかがわかるかと思います。追波川の方がより流量が少ないですから基本には水溜りのような川です。

追波川の最上流である北上大堰はオーバーフローの1〜6号ゲートと流下の3〜5号ゲートが存在し、平水時はオーバーフローの中央3〜5の三つが開いています。渇水時はオーバーフローが一つだけ開くかたちになります。増水すると1〜6のオーバーフローが開き、次の段階として流下が開きます。(全開)

北上大堰のようす

基本的にはこのサイトで北上大堰の現在のゲートの状況、水温、水位がわかります。2024/6/25現在はサイトエラーにつき見れない状況ですが、そのうち復旧するかと思います。


北上川水系の釣り禁止区域と駐車禁止区域

ビジターで遠征する際に1番気にする部分でもありますが、通い始めたばかりでわからない方もいますので本項に記すこととします。

まず追波川最上流の北上大関の流下から200m地点と旧北上川本流最上流の鴇波洗堰の流下200m地点まで禁漁区域です。したがってここは釣り禁止エリアです。また鴇波洗堰に関しては9月頃から鮭の刺し網が入り、網にルアーが引っかかっているのが迷惑だという話が漁協から出ています。普通にBLUE BLUEのタッグバトルの映像にも出ていますが釣り禁止ポイントです。

鴇波洗堰。ここは釣り禁止なので要注意です。

同じ旧北上川で言えば河口の日和大橋から下流は釣り禁止エリアですが、「釣り禁止」の看板等が無いので注意してください。警察、港湾局、漁協で言い分が違っていたりするのでそのあたりも要確認です。

またこの付近は迷惑駐車の問題があるので路駐せずに川沿いに用意されている駐車場にキチンと停めて、心置きなく釣りをしてください。

240号の橋(日和大橋)から釣り禁エリアですが、警告文章や看板等がないので注意が必要です。

北上川水系で明確に禁止されているのはこの3か所になるかと思います。続いて駐車禁止エリアについて紹介したいと思います。

新北上大橋周辺。下が河口方面で県道238号側の新北上大橋の付近も駐車禁止箇所があります。このあたり一帯川沿いに側道がありますが、駐車する際は気をつけて下さい。

基本的には注意すべきは中下流エリアです。河川敷に侵入するための側道は漁業関係者が使う通路になっており、日中は特に使用頻度が高いので、駐車しないようにお願いします。

ほぼ全てのポイントは少し離れた場所に駐車出来るスペースがありますので明るいうちに駐車場所を確認する事を強くお勧めします。


その他注意事項

●ヨシ(イ草)の刈り込み

この流域はヨシ原が有名ですが、釣り人によるこのイ草の刈り込み等も度々問題になってますので、特にこのエリアで釣り座の確保のために草刈りをするのはやめましょう。

邪道のバチ抜けパターンのプロモ動画で大人気となったポイントですが、このエリアのイ草は計画的に管理して白川郷の茅葺屋根などに使用されるものです。全面釣り禁になる前にこういった問題を食い止めましょう。

●遊漁券の必要性

また、シーズン始め(4月〜5月頭)はサクラマスアングラーとバッティングする事になるため、遊漁券の購入をおすすめします。シーバスは共同漁業権の指定魚種ではありませんから、法的には買う必要はありません。

しかし、ルアー釣法で釣れる可能性がある事とスズキのみを対象とした釣りである事を一般的な視点から客観的に証明する事が難しいのでトラブル防止の為に遊漁券を入手するに越したことはありません。


本編

シーズンインとはいつなのか?

さて、ここからが本編になります。一般的に追波川のシーバスゲームは6月頭からシーズンインと言われています。実際のところ1番最初に海から登ってくるファーストランのスクールは4月中旬から下旬の時点で北上大堰まで到達しています。

その一つの基準となるのが水温です。基本的に魚は消化酵素の関係上13℃以上にならないと、積極的にエサを食うモードに入りずらいです

お寺や神社などで冬場に鯉に餌やりを禁止している所が多く見られますが、それは消化酵素が働かず消化不良を引き起こし死亡リスクが上がる為です。

したがって13℃以下になると、特に動物(魚・貝・甲殻類等)食の中型魚は極端に活性が下がります。面白いことに、この時期のクロダイの釣果情報をウォッチしていると、水温13℃が明らかな分水嶺になっていたりします。もちろん落鮎パターンのように特定条件下では水温低下によるカロリー消費を補うためにエネルギー確保の関係から逆に積極的に捕食行動に移る場合もあります。

しかし、シーズン初期は、半閉鎖性の河川内のような場所ではバイオマス的にカロリーを供給できるエサに乏しい為、水温の低下は悪影響である事がほとんどです。シーズンの進行によって河川内のバイオマス増加に従いセレクトできるエサが増えると流域によってベイトパターンが発生します。

4月末~5月下旬までのタイミングはGW突入を境に代掻きの水が入ってきて河川の濁度が爆増します。水量が安定していれば、海水が上げてくるタイミングの間だけ、水の状態の良い箇所に限って釣りになる状況です。

海から遡上してきて間もない魚が多い事と淡水の泥水を嫌って基本的には海水層を非常に強く意識しており、上げ潮の最中のみしか反応しません。

大体5月20日前後に代掻きの濁りは取れてきます。一般的にシーズン開始の合図とされるのがこのタイミングです。


年間データから見る水温の変遷と傾向

🔵北上川の水温🔴神割崎の海水温

淡水と海水の年間水温グラフ。23'国交相データ参照。
北上川の観測地点は登米付近です。したがって、実際の追波川では水温はこのデータより高くなります。

このグラフにおいて、注目して頂きたいのは全体的な屈折率の部分。つまり一定期間の水温の上昇率と下降率です。3月-6月にかけての水温の上昇率は淡水の方が高く、9-12月の水温の降下率も淡水の方が急激です

これは水の熱しにくく冷めにくい性質によるものです。つまり熱を蓄えにくいが放出もしにくい。海水と淡水の差は塩分もさることながら量の違いがポイントです。

海水は淡水にくらべて質量が多いので気温が上昇しても、その熱量を取り込むのに時間がかかります。これが一般的に言われている海の季節は地上の一月遅れの理由です。

逆に川は平野を毛細血管のような支流や水路が本流という動脈に合流する事で地熱を吸い上げやすい特徴があります。したがって時期の始めというのは大体どの川でもエリア全体の中流付近からスタートしやすい。

実はこの部分は多くのアングラーが勘違いしているところで、下流域が最も水温が安定している=釣れやすいと先入観からつい判断しがちです。初期は海水温自体が低いので魚自体がいたとしても、餌を食うモードになりにくい特徴があります。

つまり「低水温で安定しているよりも、高水温に移行している」箇所のほうが良い、場合があるということです。それがこの4月前後の時期。

この推移の動態は水温変化がどの程度釣果に影響するかという部分に結びついてきます。

魚にとっての1度は人間にとっての5度に相当するといわれていますが、実際水槽で魚を飼育してみると急激な水温変化にめっぽう弱い生き物だとよくわかります。どちらかといえば水温の低下よりも急激な上昇に弱い観賞魚が多く見られるかと思います。

この春先の時期は1度の変化が非常にシビアに出るタイミングなので、朝よりも水温の高い夕方でなければ摂食行動に移らない傾向が非常に強いです。
水温の上昇傾向の中での水温低下が活性にマイナス影響を与える事はほぼ確実です。すくなくとも6月頭までは上昇傾向の中の”水温低下”はよくない条件となります。

この6月前後の時期の最も魚の活性が上がりやすい水温は”上昇傾向のなかでの”19℃~21℃です。というか、例年これ以上水温が上がる前に梅雨に入り19℃前後で推移するようになります。いったん水温が16度台まで落ちたとしても、その後の回復の際の19℃~21℃に差し掛かったタイミングで再び活性化することが多いです。

さて、ここでもう少し具体的に追波川の水温を見てみましょう。

これは飯野川橋下流側に配置されている観測ブイの昨年のデータです。先ほどの登米観測所のデータに比べてさらに水温のトップとボトムの値が極端なのがわかります。

先述しましたように、水の熱しやすく冷めにくい性質はその質量が増えるごとに顕著になりますので、淡水域は夜中の放射冷却によって一気に水温低下しやすく、逆に中下流域は海水の影響で安定しやすくなります。

つまり、この傾向を踏まえたうえでその時の状況に応じてエリアを選択することが大事だといえます。安定していたほうがいいなら水量の多いエリア、変化したほうがいいなら水量のすくないエリアを選択するわけです。

単に雨が降って水温が下がったらよくない、という話ではなくそれが相対的に生態系にどのような影響を与えるのかを考えるのがとても大事なことです。

たとえば上記グラフ8/8は28.4度というちょっとありえないような高水温です。この高水温を嫌ってディープに魚が固まっていると仮定すれば、雨によって水温が下がると同時にそこでは魚の活性が一気に上り、良い釣果を得られると予測できます。

つまり、おそらく魚がストックされているであろうポイントで一気に魚の活性が上がるタイミングを抑えるわけです。どれだけタフコンでも魚は餌を食わなければいけないので、一定のスパンの中に餌を食うときが必ずあるはずです。その最も高い確率に最大のインプットを投下するのが得策でしょう。


ベイトフィッシュ

この走りのメインベイトは稚鮎です。そこから潮回りによってシロウオ、ハク、バチ。水温が安定し出すとアミが湧きます。アミは追波川の通年のベイトで9月までポイントによっては常在します。7月くらいがアミパターンの最盛期になります。

一口にボラといっても50クラスの大ボラから、10センチ前後のイナッコ、2センチほどのハクがいます。また、ニゴイやウグイの若魚やハゼ、ヤマトヌマエビ、渇水のタイミングは北上大堰付近までカタクチイワシやサバの幼魚などが入ってきます。

アミを食べている魚は釣りあげるとベイトを吐き出すことがよくあります。アミのサイズを見るとわかりますが、非常に小さい甲殻類ですので、早い流れの中にいるというより流れが程よく緩いほうが溜まりやすいです。

6月付近はやはりアミを中心にハクなどのマイクロベイトの影響が非常に強い事が多く、魚の姿はよく見るものの食わせるのになかなかテクニックがいります。


効率よく魚を探す「エリアセレクト」



これは以前ブログで書いたことがありますが、何も事前情報や経験がない場合もっとも効率よくシーバスを釣る方法、基本的な考え方をひとつ提示させていただきます。これはビジターで県外遠征する際にも通用する基本的な考え方ですので、頭の片隅に入れておいて損は無いかと思います。

まず、河口から北上大堰まで全域にシーバスが配置されているとして、どこ で魚を釣るべきなのか。

BLUEBLUE代表村岡正憲氏はリバーという「高低差の高い場所から低い場所へ水が一方向へ流れている」ルートの中で、スーパーボールを100個流して、そのスーパーボールが溜まる場所こそがベイトフィッシュの溜まる場所なのだ、と説きます。

これはたとえばカーブのインサイド側に出現するサンドバーや、テトラの突堤などで発生するヨレを想像してみれば言わんとしていることがわかるはずです。しかしこれでは不十分な説明であると思います。

どういう意味なのか?といえば、あくまでその仮定は「ベイトフィッシュが目視できる」という前提がなければ成り立ちません。

そしてベイトが目視できない状況だがよく釣れる状況もあるし、逆にどこに行ってもベイトの姿は見えるのに全く釣れないことも多くあることを考慮する必要があります。つまりマイクロベイトだったらどうすんよ、って問題です。

さて、それらを踏まえたうえで、もう少し論理的に魚に近づく方法があります。それはベイトや流れの有無をすべて「不随要素」としてオプションと考え、実際にルアーを投げて反応があるかどうかを判断の基準にして考えていく方法です。

つまり条件ごとに分けた選択肢に少ないインプットをそれぞれ投下し、そのアウトプット、つまり反応がある選択肢に残りのインプットを全て投下する。という方法。

もっとわかりやすくいうと、それぞれのエリア、それぞれのポイントで優秀な”サーチベイト”を使って魚からまずバイトを貰い、そのエリアの中で「不随要素」としてのベイトの有無や地形変化を確認し、確率が高そうだと判断できるポイントで手を変え、品を変え、時間を費やして丁寧にプレーする方法です。実はこれがラン&ガンの本質的なエッセンスの部分。

旧北上川などの場合、目視で確認できる水流変化や地形の変化、マンメイドストラクチャーなどが多いので明確ですが、追波川の場合淡水量が少なく、流れも非常に緩慢であるので、魚を探すにはかなりの効率性が要求されます。


戦略と効率化

もうすこし具体的に触れていきたいと思います。例えば大堰から福地上流の周辺を上流、そこから福地水門付近までを中流とし、さらに下を下流域と3つに区分けして考えてみます。

3区に区分して考えます。もちろんそれぞれのエリアの特性を自分なりに区分けして4区ずつでも構いません。とにかくブロックごとに分けて考えます。

先ほど水温変化の傾向について書きました。淡水は海水にくらべて熱しやすく冷めやすい傾向にあり、水温が6月末より急激に上昇し始めると魚が生息しにくい水温に到達します。

したがって微生物の増加に伴い低酸素状態などの悪影響がではじめます。この少し前までの時期は「淡水の高水温」がプラスに働き、末あたりから天気次第では悪影響に切り替わってくる端境期になります。海水温もある程度の高さまで乗ってくるとそう簡単に水温もさがりません。

このあたりの見分け方が時期特有の難しさでもあります。高水温が続くならば酸素量の多い条件がそろった場所が強くなったり、放射冷却の影響で一番水温の下がる明け方に一気に活性があがるなど少々読みづらい展開になります。大体日中の水温が25度を超えると徐々に渋くなってきます。

また梅雨時期でもありますから、一気に雨が降って堰が解放されたり、岩手から冷たい水が差すと今度は水温低下が著しくなり極端に水温が低下したりします。水温が下がるのが良いといっても限度があるので水温変化も要チェックです。

それらの状況変化の予測を立てたうえで、プランを立てます。例えば4時間釣りをするならば、40分くらいずつ3つのエリアをみれば120分。二時間です。

そして、その3つのエリアのうち一番魚の濃度が濃い場所を選んで、残りの二時間を割り振ります。サーチベイトで3つの箇所で最も魚の反応が取れた場所をいろんなルアーで料理し、魚を探していきます。

<ポイント特性>

  • 上流は護岸、マンメイドストラクチャーがある

  • 上流は堰があり酸素量が多い

  • 中流から下流は葦が多くベイト濃度が濃い

  • 中流は地形変化に富んでおり魚が着く可能性が高い

  • 下流は水質が常に安定している

  • 下流は魚の基本ストック量が多い

こういう風にエリアごとを記号化して、どの条件がベストなのかを実釣で割り出していくのがコツです。この基本軸がしっかりしていると普段やっているシーバス釣りの経験の蓄積がうまく生かされるようになります。

例えば大雨が降ったとしたら、ナイトゲームで普通に釣りをする分には水質が安定している下流を選ぶか、上流で水温低下のタフコンで食ってくる=体力ある=特大サイズを、一発勝負で狙うか、魚がストックされていそうなディープ隣接のシャロー=中流で活性が上がる個体群を狙うか、といった形で選ぶことのできる選択肢が明確になります。

限られた時間で魚を探すにはこのような思考ががあると迷いが生まれにくいです。ここに先ほどの基本戦略。すなわち全体を少しずつ見て、状況判断に精度を出していくと最短で魚にたどり着けるかと思います。


追波川ルアー図鑑

ここでは、追波川でイチオシのルアーとその使い方について解説します。ミノー、シンキングペンシル、バイブレーション&ブレード系&ワーム系、そのほか、に分けて紹介します。

ルアーはその時の状況に合わせて、適材適所で選ぶ必要があります。したがって単にダウンにだらっと流していれば釣れるわけではなく、巻いたほうがいい状況や、完全に放置して漂わせたほうがいい状況もあったりします

ただでさえ流れが緩いので、一般的な速度域ではほとんどI字状態になっていることが多いです。特に注意してほしいのが、入ったポイントの「全体的地形」と「上げ潮なのか下げ潮」なのか、ということ。

もう一つは「堰からの放水量」です。地形によって、上げ潮が良いか、下げ潮が良いか、または風があったほうがいいのか、その風向きはどの方向か、堰からの放水量が多ければ多いほど旧北上川のような一般的なリバーに近いセレクトが必要になってきます。

そこがグラデーションになっているという事で、平水時はやりこんでいるアングラーほど旧北とオッパではルアーセレクトががらっと変わるのはそういった傾向があるためです。

ここでのテーマである前半の時期、つまり4月~7月ぐらいまでの時期というのは大体のパターンとして、デイゲームなら基本水深2mくらいまでのレンジか、それ以下に二極化します。またナイトの場合は水面直下か、もしくは水深2mくらい。ナイトはデイよりレンジが上がることがほとんどで、流れが効くと徐々に表層に近づき、流れが収まると深くなっていく事が多いです。


<フローティング&シンキングミノー>

まずはミノーから。ミノーのタイプは大きく分けて2種類。シンキングミノーとフローティングミノーです。それぞれをレンジ、リーリングの速度域によって使い分けます。サイズは9~12センチを中心に選ぶとよいですが、ものによっては16センチ台でも普通に釣れるシチュエーションがあるのがオッパの面白いところ。

おすすめなの基本サイズは12センチ以上。ほかの河川でのルアーセレクトを考えると大きすぎるように感じる方も多いかと思いますが、オッパの平均サイズ…すなわち70以上の魚を狙うならばこのサイズ感がマストかなと思います。ミノーだけを持っていくわけではないので、ミノーイングで獲るためのセレクト、フィネスならシンペン系やゴム系…と役割とサイズ感の明確な違いを意識したダイナミクスのある手札構成にすることが機能的に最も重要です。

デイゲームでもコツさえつかめばミノーイングで十分魚はつれます。というかミノーで出る魚は基本的にバイブレーション系よりもデカいのが多くなるのも面白いところ。

レンジ帯は3種類シャロー(~60cm)ミッド(60cm~2m)ディープ(2m~)を中心に、加えてシンキングかフローティングかというオプションが付きます。基本的にはフローティングのほうがナチュラルかつハイピッチな動きをしているものが多く、シンキングはややバタバタするものが多いです。

シャローランナーと銘打たれたルアーでも60センチほどレンジが入るものも多く、どちらかといえば~30cmくらいまでのレンジを得意とするルアーをシャローランナーとして、役割を与えたほうが手札全体から見てバランスのよいセレクトになるかと思います

基本的なダウンドリフト、上げ潮最中の潮目デッドスロー、爆風ジャバジャバ時の切り札として使います。ウィンドドリフトで食わせの動きを出しやすいので、流れが死んでるときほど活躍する事も多いです。

ちなみに魚探をかけたことのある方の話では追波川のシーバスはほとんど流心についていて、その数も一か所につき数千単位では効かないほどの凄まじいストック量があるようです。


フローティング編

カゲロウ124F


みんな大好きカゲロウ。ナイトゲームで必要なのは124F。基本アクションはロール9割ワープスライド1割という感じで、高速域と低速域の両極端な速度域を双方ともに得意とするのが特徴のルアー。

オッパで使うならどちらかといえば高速域でガンガン水を動かした方が”とりあえずの”反応は得やすい。やや強めに水を当てないと特有のワープスライドが出にくいので、その動きを出すことを意識して扱うとルアーに対する理解度が上がると思います。

最近はややブームが落ち着いてなんとか入手できるようになってきました。この手のブームものルアーというのはブローウィンなどもそうですが、ユーザーが「釣れるから」から買っていると言うより流行りモノを追いかけてる人々の間で消費されているだけで、単なるレアルアーの類の扱いです。

実際このルアーじゃないと非常にヒットに持ち込みにくい状況があったりするんですが、そういった本質的な部分にまで踏み込んで使っているアングラーは意外と少ないです。

マイナーチェンジ版にMDや100Fなどがありますが、シャローランナーと銘打ちながらも100Fは1mほどレンジが入ります。高速ローリング系のルアーなのでよく釣れるんですが、そのサイズ感、レンジ帯なら別のルアーでも互換性があるので特段”これじゃなきゃいけない”というわけではありません。

後述しますが、この30センチくらいのレンジ帯までのシャローランナーでは食わせ能力、汎用性という意味でソラリア85やコモモSF125のほうが圧倒的に優秀です。カゲロウはダーターカップ由来の水押しが非常に強くて、たとえば稚鮎やハクとアミの混合などのタイミングだととても食わせにくい場合が多いです。つまりベイトパターン&シャローレンジにアジャストさせて使うには食わせ能力にやや不利な点があります。

実はこのルアーの特殊能力という意味ではそこが非常に重要なポイントだったりします。「ロール主体」「強い水押し」「水流速度の適正の広さ」「サブサーフェィス特化」というのは特大サイズの魚を狙って釣るには重要なポイントだったりします。

体高21センチの極太。尾びれは広げた手くらいのサイズです。10mほどの近距離で魚が付くタイミングを見計らってヒットに持ち込んだランカー。ルアーを投げずにピンに張り込んで魚が付くのを15分くらい待ってました。魚が付くと周囲のベイトフィッシュが逃げ始めるので、それを合図にルアーを流します。

特大サイズは基本的なレンジを外した上か下でヒットする事が多いです。そしてあまりルアーがバタバタ動きすぎない方が良い。テールスイングの動きが入りすぎるルアーセレクトだと周囲にいるワンサイズ下の魚が反応して、本命の大型にプレッシャーがかかってしまうこともしばしばあります。

このように狙って大型を釣るのに特化したルアーであることは確かです。ベイトパターンに当てはめてフッコサイズを数釣りするのでは無く全体傾向を無視した”水面直下のランカーを一撃で獲る”のがカゲロウ124Fの本懐かと思います。そのイメージの延長にあるのが155Fというワンサイズ上のモデル。

特大サイズ狙いで出た納得の一本。この前のタイミングで99センチが出て(後から知ったけど)前日同じ時間に明らかに大型個体が沸くタイミングがあったので、その翌日全く同じタイミング、同じピンで同じようにカゲロウをデッドスローで流して出た一匹です。

通いこんでみると特定の条件が揃うと大型の魚が出るタイミングが確かにあります。そればかりは通う以外に見つけ出す道はありませんが、そういった”神のタイミング”がわかったときにピンポイントで狙った魚を取るのに非常に向いていると思います。

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