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日本映画naviのレビュー

 写真も実に素晴らしかったのですが、インタビューの記事が愛に溢れていてとても良かったです。個人的に田中圭さんが林遣都さんの話をするのが大好きで、田中さんから伝わる林さんの人柄が本当に微笑ましくて、その関係性が大好きです。

 本誌のインタビューや座談会でも、少し天然だったり、饒舌ではなかったり、一生懸命に言葉を選んで話している感じが伝わって来ました。彼は役が抜けると途端にたどたどしくなるのが、周りの人に愛される所以だと思います。ゆえに言葉のニュアンスが誤解を招くことがありますが、おっさんずラブにかける情熱は座長にも負けていないと感じました。

 林さんの「嘘に嘘を重ねるような感覚」という表現は、日刊スポーツのドラマGP助演男優賞受賞時のコメントが初でした。本誌でもこのいい回しが使われています。この言葉のニュアンスは、決して自分の心や演技に嘘を重ねているという意味ではないと思います。

 林さんの役は何層もの目に見えないものを隔てていても、まるでそこにずっと前から存在していたような、この先も世界のどこかにずっと生き続けているような錯覚を抱かせます。実際、牧がそうでした。

 そこに一点の曇り迷いもないのです。だからこそ私たちは魂を揺さぶられたのです。役者としてその母体を支えることに、多くのエネルギーを使うのだと一貫して話されています。それは時に生みの苦しみを伴うことも、魂を削ることもあるかもしれません。ですがインタビューを読んでいてそれは役者としての大きな歓びであると感じました。彼の美しさの根源はその命の輝きにあると思います。

 おっさんずラブに限らず、田中さん、吉田さん、林さんの役者としての人生観といったものまで深く掘り下げてある良質な記事です。ぜひたくさんの方に読んで頂きたいです。