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父娘、旅に出る。Day7 / final episode_180919

9月8日にはじまった父娘のふたり旅は、羽田空港への到着をもって、無事に終わりを迎えました。

アロラを出てからずっと、父はほとんど口を開かず、ノートを開いては何かを書きなぐっているようでした。そんなわけで、私たちはほぼ話をすることなく、それぞれの時間を過ごしていたのですが、到着ゲートを出たところで、突如父の歓喜の声が。驚いて振り返ると、そこにはなんと兄(長兄の優史)がいたのです。

予定では東京にいるはずのない、この春マレーシアに移住した兄。関空の閉鎖などで東京にとどまることになったため、せっかくだからと羽田空港へ駆けつけ、ゲート外で待ち構えていたとのこと。

現実的なことについては、お世辞にも頼りになるとは言えない、一風変わった兄です。
今では笑い話ですが、母が亡くなったとき、お葬式の手配や関係者への連絡など、事務手続きのすべてを担当したのは次兄と私(弟はロウソクの火を絶やさないようにと、火をくべ続けていました)。一方で長兄は、「食べないと持たないぞ!」と、何だかあたたかい食事をつくっては家族みんなに振る舞う料理番でした。切羽詰まってコトを進めている中で、お椀に入った鶏団子を差し出され、脱力したことは今も忘れられません。。良い悪いではなく、兄はそんな人なのです。

この旅の最後に、自分も存在感を残そうと思ったのか(笑)、私たちを労おうと思ってくれたのか、真意はわかりません。でも、兄らしい思いやりを、久しぶりに見た気がしました。

父娘のふたり旅は、私たち家族の旅でもあったんだな。父と兄の抱擁を見て、そう思ったのでした。

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