【144話】【ネタバレ】俺だけレベルアップな件【翻訳】
旬は高層ビルの屋上から影たちが拾う街の声を聞いていた
「スミス!最近どう過ごしてる? …」
「お客様、当店ではそのようなご理由による払い戻しは原則として… 」
「昨日のパーティーにはなぜ来なかったの?……」
聞こえてくるのは求めている声ではない。
(まさか···都市を抜け出したのか?
しかし、賢太もD級とはいえ戦闘系のハンターだ。 一般人が群れをなして集まっても相手にならない。
ハンター管理局に行くと言っていた車が都市を抜け出そうとしていたら、賢太も気配を感じて抵抗するはずだ…
犯人は「スカべンジャーギルド」というヒントだけを残していった スカベンジャーギルドのハンターといえば……)
(右京隼人の弟右京将人。
長い間、俺たちがアメリカの地を踏むのを待っていたのか。 兄が死んだ事件の真相を明らかにするために。 当時、ダンジョンで生存したのは、俺と賢太だけだった。
右京将人は多分俺たちが兄を殺したと疑ってるんだろう。
あの時、犬飼課長が警告してたことが、今になって現実になるとは…)
旬はB級の道門を殺した際に犬飼から忠告を受けたことを思い出した。
(賢太の親父さんを助けたことは後悔してない。ただ、賢太に警護兵を再び潜らせてさえいれば、こんなことにはならなかった……もし賢太に何かあったら……)
右京を見つけられていないのはスカベンジャーギルドも同じだった。
「まだ報告は入ってないか?」
「はい、まだです」
トーマスは眉を顰めた。
(命が惜しくないのか…いや、ミスター右京はS級だ。相手と自分の格差ぐらいは分かってるはずだ。
それでもこうして無謀なことをするのは…私が出てくると分かってるからだろう。
俺があまりにもハンターたちを甘やかしすぎたか)
トーマスは携帯を耳に当てた。
「ローラ、状況は?」
対するローラは運転する車内からハンズフリーで答えた。
『ハンター管理局に協力を得て最近一ヶ月間のミスター右京の移動経路を全て分析してみました。 計3回、普段の行動半径を外れて予定にない場所に移動した形跡がありました』
「全員そちらへ向かわせてくれ。私も向かおう」
「承知致しました。」
「ところで···ハンター管理局の局員たちをどうゆって説得したんだ?ローラ?」
「『早く『右京ハンター』を見つけられなかったら、水篠旬さんとマスタートーマスがぶつかるかも知れない」と言ったんですよ。』
ハンター協会はまるで嵐の様相だった。
「スカベンジャーギルドメンバー全員がちょうど移動を始めました!」
「100人全員?」
「予定していたレイドまでたった今キャンセルしました。 全てのハンターたちがどこかに動いています」
副局長は一瞬思案する。
(スカベンジャーギルド全体が動いたということは···トーマス·アンドレが後ろにいるということだ。 ただ事ではない。
一体···今何が起こっているんだ?)
真っ暗な廃工場、人気のないそこに男たちはいた。
「本当にこんなことして大丈夫なんですか?」
「どうもしねえよ。俺が聞き出したいのは一つだけだ」
血塗れで意識をなくしている賢太を見下ろして、右京が嗤う。
(マスタートーマスが水篠旬を刺激するなと警告したが、初めから水篠旬を刺激するつもりはなかった。
俺の質問の答えを知ってるやつははもう一人いるからな。 あの日、兄貴と入ったダンジョンで何があったのか正直に答えれば送ってやると言った。聞きたい答えは一つだけだ。『水篠旬が兄を殺した』
その一言さえ聞くことができれば、コイツにもう用はない)
「起きろよ」
頬を張っても意識を取り戻さない賢太の胸に拳を叩きつける
「起きろっつってんだろ!!」
賢太の口から血が吐き出される。
腫れ上がった右目は開くこともできず、もはや眼球が無事かどうかすら確認できない。
「タンカーなだけあって無様にもよく耐えますね。 普通の人間だったらもう死んでいますよ」
メガネの男が笑って賢太を見下ろす
「頭弱そうなくせにやたらと口が堅いじゃねえか。勇気は賞賛に値するが、その無謀さが免罪符にはならない」
「よく聞け」
賢太の前髪を鷲掴みにして鉄の柱に後頭部を叩きつける。
「俺はお前を殺さない。目の前で笑っている奴はヒーラーだ。 こいつはお前が死にそうになるたびにお前を蘇らせる。
だからお前は俺が知りたいことを吐くまで、永遠にここで苦しむことになる。しかもここは稼動しなくなってから5年以上も経った工場だ。
てめえがいくら悲鳴をあげても、助けにくる奴はいない。
どうだ? もう素直になっちまえよ」
「·········えろよ····」
「何だって?」
「消えろよ」
右目は腫れ上がり、鼻血と吐き出された血でぐちゃぐちゃになりながら、賢太は笑って中指を突き立てた。
右京が賢太の頭を片手で鷲掴みにして思い柱に打ちつけた。
鉄の柱が曲がる。
「ミスター右京、気をつけてくださいよ。 金のために殺人に加担する気はありませんよ」
ヒーラーとは別の男が、焦る素振りも見せずに言った。
「…気をつけよう」
「もう行きましょう。 ここまでやれば充分じゃないですか」
「何言ってるんだよ。 こっからが始まりだろ」
賢太の目に、目の前にいる右京将人が右京隼人と被って見えた。
「あ?…なんだ?」
廃工場の入り口に、赤いハイオークが1匹佇んでいた。
「あれ?近くでダンジョンブレイクでも起きたんですかね?」
ハイオークは見るからにブルブルと体を震わせている。
「妙ですね。ミスター右京、あいつあなたを見て怯えてるんじゃないですか?」
「遊んでる時間はねえよ」
拳を引いて、右京がハイオークに殴りかかった。
「交換」
水篠家のリビングでは葵が母に膝枕をされながらスマホを弄っていた。
母はニュースを見ながら呟く。
「旬は大丈夫かしら?」
(王の母よ、王が大丈夫ではないような事態なら、誰一人として生き残れないでしょう)
二人の護衛として残されたベルが密かにそう思うが、当然母親の耳には入らない。
『こちらは現在、アメリカハンター管理局で主催している···』
ニュースでは旬たちの姿が映し出されている。
「葵、お兄ちゃんが出たわよ」
「ほんと?」
(王様···!)
母親の言葉で葵より喜んだのはベルだった。
直後、ベルは何かを察知した。
(この感じは···。 前にも一度同じように感じたことがある)
(王がお怒りだ!!)
「最近、ダンジョンで事故が多いというから、みんな気を抜かずに攻略しよう! 一人も怪我しないように!」
騎士団ギルドの板東が攻撃隊に声をかける
「団長!」
「どうした?」
「影…影です!団長の足元の影がたった今ブルブルと…」
尋常ではない様子で青ざめて訴える千代田を見て、板東が呆れたようにいう。、
「譲···レイド前にお酒飲むなって何度も言っただろ」
「違うんですって、兄貴!俺は今日一滴も飲んでいません! 影が生きているみたいに震えてたんですって!」
「 だめだ、お前は今日は休め」
「 兄貴!本当なんですって!!」
千代田の必死の訴えは板東に取り合ってすらもらえなかった。
「車止めろ!」
トーマスアンドレが車内で叫んだ。
「え? 」
「いいから車を止めろ!くそっ···もう始まったのか!」
トーマスが車のドアを蹴破ると、ドアが大破して吹っ飛んだ。
「私先に行くからすぐついて来い! 」
「はい!」
トーマスが跳躍した後の道路が衝撃波で大きく陥没した。
「明日また損害賠償請求書が出されそうですね」
「 まったく…とりあえずこのまま向かうぞ」
運転席と助手席の二人はため息をついた。
脇腹にめり込む拳。
右京は血を吐き出して廃工場の中で吹き飛ばされた。
賢太は血まみれになりながら穏やかに笑った。
顔を見なくても分かる、その拳の持ち主を信じ続けた勝利の笑顔。
旬は全身に怒りを纏って現れた。
※今回のハイライトは間違いなく賢太!!
ボロボロなのにかっこよすぎるわ…
ピッコマ配信までそのシーンはお楽しみにっ!!
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ただし実行は自己責任でお願いします。
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