小噺 耳飾
生まれて初めて、イヤリングを落とした。
ずっと触って確かめていたから、
すぐに来た道を辿って確かめてみたけど、
もうどこにもなかった。
私にとっては大事なイヤリングでも、
他の人にとっては何の価値もない。
私が必死に探して見つからなくても、
たまたま見つけた人には微塵も分からない気持ち。
ねえ、無くす前は、ずっと私の物になるはずだったのに、
なんで私じゃなくて、その子なの。
髪が短い方が、きっと似合うから、
離れてっちゃったのかな。
もう、耳元で囁いてくれないのかな。
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