寄る辺のない熱情

横浜トリエンナーレのうち、黄金町で開かれている黄金町アートフェスティバルに行ってきた。
黄金町という町には「ちょんの間」など暗い歴史が跡を残しているが、そのように活用されていたであろう古めかしい建物をアーティストが再利用して上手く芸術作品として機能していた。
印象的だった作品がある。それは、一見古くからあるクリーニング屋なのだが、中に入ってみるとアートスペースになっている場所にあった。
各展示のテーマは「寄る辺のない熱情」であり、様々な作品があったが入口入ってすぐの暗い部屋で複数のディスプレイから映像が再生されているうち一つの液晶が目に留まる。
それは、1人の外国人の中年男性が所在無さそうに立ち尽くしたまに動いているだけの映像だった。
最初、なんだこれは、としか思わなかったが後々思い出してみるとこれは自分自身なのかもしれないという感覚になってきた。
現実の世界は、自分の部屋から一歩出れば熱量に満ちている。それらの中で何をどうしたらいいか分からず立ち尽くす、そしてたまに打破しようと動いてみる、それは当に現実の自分とディスプレイの外国人を結びつけているように思った。

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