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「温泉ワーケーション」の先にあるライフスタイル

これまでさまざまな角度から、温泉に入りながら仕事もこなす「温泉ワーケーション」について述べてきた。

だが、温泉ワーケーションは「ゴール」ではない。その先がある。今回は、少々現実味は薄いが(妄想に近いかもしれない)、「温泉ワーケーション」の先にある理想のライフスタイルについてお話ししたい。

温泉地で「暮らす」ように旅する

温泉ワーケーションでは、温泉地に連泊して長い期間、温泉地で過ごす。理想を言えば、1週間以上滞在できれば充実した時間を得ることができる。

1週間以上、温泉地で仕事もこなしながら滞在するということは、ある意味、「その土地で暮らしている」と言えなくもない。

私の経験からも言えることだが、1週間もすればその環境に慣れ、多少の不都合(お店がない、買い物が不便、繁華街がないなど)も気にならなくなる。「住めば都」とはよく言ったものである。

「寅さん」のように旅とともに生きる

温泉地での長逗留が普通になると、ある疑問がわいてくる。

「そもそも今、住んでいる場所にとどまる必要があるのか? もっと自由に好きな場所に住んでもいいのではないか?」

映画『男はつらいよ』の寅さんのように、全国各地を旅しながら生きることに私は憧れてきたが、いよいよそういう生き方もできるのではないか、と考えるようになった。リモートワークが当たり前になってからは、その思いにますます拍車がかかっている。

もちろん、現実は甘くない。家族の問題でもあるし、子どもの学校の問題もある。今まで以上に資金も必要になる。

だが、「どこでも生活できる」ようになることは、少なくともこれまで以上にライフスタイルの選択肢を広げるのは間違いない。

もはや定住する必要がなくなる。これまでの日本人の価値観では、マイホームを買ってその土地に骨を埋めるのが、ある意味幸せな生き方とされてきた。もちろん、ずっと同じ土地に住み続ける幸せもある。

だが、仕事や生活に縛られなくて済むのであれば、ひとつの場所にとどまる必要もなくなる。結婚や子どもの教育、親の介護などライフステージに合わせて、住む場所を変えるのが当たり前になるかもしれない。

縄文人は幸せだった!?

それは縄文時代の狩猟生活と似ている。縄文人は季節や食料事情に合わせて、各地を移動しながら生活をした。

ベストセラーとなった『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ著)の中で、「格差の存在しない縄文人は現代人よりも幸せだった」といった趣旨のことが述べられていたが、自分たちが暮らしやすい場所を求めて移動していた縄文人は、ある意味幸福だったのかもしれない(もちろん、縄文人なりに苦労はたくさんあっただろうし、当人たちが幸せだったかどうかは知る由もない)。

稲作技術が伝来した弥生時代になると、人々はひとつの場所に定住し、そこから離れなれなくなった。そして、米という「富」の蓄積により格差が生まれ、さらなる「富」を求めて争いも起きるようになった。

現代社会は弥生時代の延長線上にあるといっても過言ではない。モノがあふれ、生活は便利になったかもしれないが、生活のために1つの場所、会社で働くことを求められ、他者と比較しながら生きていく・・・。より幸福度を感じにくい世の中になっているような気がしてならない。

「渡り鳥」のように温泉地を転々とする

だいぶ脱線してしまったが、今は現代の利便性や快適性を享受しながら、縄文人の自由な生き方に少しだけ寄せることが可能になりつつある

「どこでも生活できること」は、その象徴的である。たとえば、夏休みは避暑をかねて高原の温泉地に滞在する。逆に寒さが厳しい時期は温暖な気候の九州や伊豆などの温泉地で過ごす。

また、単身で自由が利くのであれば、お気に入りの温泉地を渡り鳥のようにめぐるのもいい

私であれば、北海道を拠点としながら、季節に合わせて鳴子温泉郷と別府温泉郷をメインに、東北と九州の温泉地を転々とすることになるだろう。想像するだけでもワクワクする。

温泉ワーケーションの延長線上にあるもの

ここで述べたことは荒唐無稽な妄想のように感じるかもしれない。

だが、最近では定住する家を持たずに移動しながら生活する「アドレスホッパー」も注目を集めている。ADDressのような定額住み放題サービスなど、それを実現する仕組みも構築されつつある。

また、温泉ワーケーションを実践していると、「ひょっとしたらもっと自由な生き方ができるかもしれない」という発想になる。

おそらく、ちょっとした発想の転換と、一歩を踏み出す勇気があれば、「温泉地を渡り歩く」生活も実現できるのだろう。温泉ワーケーションの延長線上に、もっと自由な生き方があるのは間違いない。

そんな可能性に触れられるだけでも、温泉ワーケーションを試してみる価値があるのではないだろうか。

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