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「温泉ワーケーション」で日本人の働き方が変わる?

私が温泉に出かけるときは、できるかぎり土日祝日や連休は避けて、平日を中心にスケジュールを立てる。混雑を避けるためだ。

せっかく温泉でゆっくりするなら、観光客が少ない静かな環境が好ましい。心からリラックスするためには、一人で物思いにふける時間も必要である。

これまで何度も述べてきたが、「温泉ワーケーション」は連泊を基本とする。最低3泊、理想は1週間以上の滞在だ。

だから、必然的に土日祝日だけでなく、平日もスケジュールに組み入れることになる。平日休みを満喫できるのも「温泉ワーケーション」のメリットのひとつである。

土日祝日に休みが集中する弊害

これまでの日本人の働き方は、「平日にしっかり働いて土日祝日に休暇をとる」というのがスタンダードだった。

当然、温泉地をはじめとする観光地は、土日祝日や連休に人が殺到することになる。週末になれば人気の温泉宿は満室となり、希望する宿に泊まるには、かなり前から予定を組んで予約する必要がある。もしくは、あまり気の進まない宿をやむを得ず予約することになり、がっかりすることになる。

温泉地にとっても、土日祝日や連休は書き入れどきだ。休前日は客室が埋まりやすいので、週末限定で強気の料金プランを提示する宿もある。だが、利用する側にとっては、混雑してサービスが落ちる恐れがあるにもかかわらず、通常よりも高い料金を支払わなければならない。腑に落ちない。

さらには、土日祝日や連休は渋滞にもハマりやすい。多くの人がいっせいに出かけるので、行きも帰りも渋滞が発生し、疲労困憊のまま帰宅することになる。特に東京から各地へ車で旅行に出かけると、どこかで渋滞につかまることを覚悟しなければならない。

一方で、平日の観光地のほとんどは人がまばらである。温泉地などは一部の人気温泉街を除けば、閑古鳥が鳴いている。平日にも観光客がもっとやってくれば、温泉地ももっと活性化するはずである。

日本人の働き方が変わる?

このように土日祝日や連休に休みが集中する問題は、日本の旅行・レジャー業界にとって大きな課題とされてきた。

「平日に休みを分散できれば、観光客も受け入れる側の観光地もともにハッピーなのに・・・」と誰もがわかっていたが、なかなか実現しなかった。

なぜなら、ビジネスパーソンのほとんどを占める会社員の働き方を変えないかぎり、この問題は解消しないからだ。

だが、いま風向きが変わりつつある。多くの企業がテレワークを取り入れることで、職種によっては「毎日職場に行かなくても仕事が成立する」ことが証明された。そして、ワーケーションのように余暇を楽しみながら仕事をすることも可能になった。

「温泉地でロングバケーション」が当たり前に

ワーケーション制度がある企業で働いているなら、平日から温泉地に入って「温泉ワーケーション」を楽しむことができる。

ワーケーション制度がない企業であっても、テレワークが許されているならば、有給を使うことで平日を組み込んだ長期休暇を実現できるかもしれない。

たとえば、土日を挟んで5泊6日の温泉ワーケーションはどうだろう。木曜日は午後半休をとって温泉地に移動。金曜日、月曜日にも半休をとり、午前中で仕事を終わらせて、あとは温泉三昧・・・といったプランも可能かもしれない。

もちろん、私のようなフリーランスなど自分でスケジュールを組みやすい立場の人は、平日を中心とした温泉ワーケーションを実現しやすい。

温泉ワーケーションは、平日が断然おすすめである。苦境に立たされる温泉地にとっても、客室稼働が週末に集中せず、平準化されるのは大きなメリットであるはずだ。

温泉地で長期休暇を過ごす――。温泉ワーケーションをきっかけに、そんなスタイルが当たり前になるのは、そう遠くない未来の出来事ではないかと思っている。

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