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導く光

何で僕はお好み焼き食べながら友だちに説教されているのだろう。

「お前はいい大学行ったのに、何でこんなところで落ちぶれてるんや」

…ん?
落ちぶれてるのか? 僕が?

…そうだな。お前の言うことはいつだって正しいよ。
そして、何にも反論できない自分が情けないね。
僕はみんなと、故郷を離れて一体何をしてきたんだろうな。
毎日を「なんとなく」で生きて、将来のことなんて考えて生きていなかった。同級生の結婚式に出席しても、「きっと、自分には関係のないこと」と割り切ってきた。でも、それも「きっと」なんだよね。どこかで期待している自分がいるのもまた事実なんだよな。

意味は無いってわかっていても、比較してしまうからな、他人と。
地元に戻ってきて、かつての同級生たちのSNSを目にする機会があった。
何をもって成功とするのかは人それぞれだと思うが、みんなが僕と異なる幸せを手にしているのを見るのが辛かった。

地元を離れて4年(大学も含めたら8年)、遠い地でがんばってきたつもりだったが、他人の目からはそうは映らないらしい。
がんばって手に入れたものと言えば、いくつかの体調不良と生活には困らない程度のお金だった。
もちろん、大学生活も関東での社会人生活も、決して無駄ではなかった。
ただ、僕の時間の無駄遣いが多かったのは間違いない。

「これから、だね…」

・ ・ ・ ・ ・

お好み焼き3玉とササミのチーズ焼き、コーラ2杯で満たされたお腹を何とか持ち上げて僕たちは店を後にした。

別れ際に、「がんばれよ」と一言だけ、彼がタバコを取り出しながら言った。

(少しずつ、見つけていくよ、大丈夫)

タバコに火が付くと同時に、僕の心にパッと明かりが灯った。

おわり