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愛すべきは、ウィスキー

開高 健を知っているだろうか。
芥川賞作家で、ベトナム戦争では朝日新聞の従軍記者も経験。
釣り師としても有名で、釣りの紀行ものの作品も書いている。
そして酒豪。大酒豪だ

開高はサントリーの社員だった。サントリーの広告のキャッチコピーを書いていた。
トリスウィスキーの

「人間らしくやりたいナ」

のキャッチコピーは開高の作品。

文豪に酒豪は多いが、僕の印象では、開高健は桁外れなイメージがある。
いろんなお酒に詳しい人であったが、ウィスキーの話に開高健は欠かせない。
この人のお酒の飲み方を語る文章は、いろいろと勉強になる。
吉行淳之介との対談モノで
「美酒について」では、いろんなお酒の知識が手に入る。

で、今日はトリスウィスキーからヒントを得て、
ハイボールの話。


トリスは戦後、大衆向けのウィスキーとして販売が始まった。
しばらくするとトリスバーが展開されると同時に、最初のハイボールブームが起きる。
それが1950年ごろ。

今のハイボールブームは角瓶で始まったが、それが2009年ごろである。

もっぱらハイボールは居酒屋や焼き鳥屋で広まり、それは今も続いている。
ハイボールといえば角のハイボールだ。
店によってはトリスのハイボールをメインにしているところもある。

でもウィスキーならバーで飲むほうがよりおいしく飲める。

バーと居酒屋とでは飲み方が必然的に違う。
バーというところは、お酒しか置いていない。多少のおつまみはあるが、基本的に食事する場所ではない。しかも、主体はハードリカーだ。ハードリカーというのは度数が高い種類のお酒を指す。ワインや日本酒、ビールは脇役だ。それらを主体に出す店の場合は、ワインバーとか日本酒バーとかビアバーという名称にする。それらの店の場合、ビールバーなどは世界中のすごい種類のビールが飲めるというコンセプトなので、そこで、「生!ひとつ」は通じない。

この10年ぐらいで、ハイボールがスタンダードな飲み物になったが、これもバーで注意するする必要があるのが、バーで「ハイボールください!」は通じない。
どのウィスキーをソーダ割りにするかを言わないといけない。
「正解は〇〇(ウィスキーの銘柄)をハイボールで(ソーダ割で)」である。

角ハイボールの功罪として、2000年以降、黒霧島の人気による第3次焼酎ブームのあと、ものすごい勢いでウィスキー離れが起きたが、角ハイボールのブームによって、ウィスキー人気を取り戻した一方で、本当のウィスキーの味を知る人が少ないという偏重も起きている。

ウィスキーは日本のウィスキーだけでなく、日本も含めて5大ウイスキーとして、スコッチウィスキー、バーボンウィスキー、アイリッシュウィスキー、カナディアンウィスキーがある。数年前からはカバランウィスキーで有名となった台湾ウィスキーや他にもインドウィスキーなども登場している。

スモーキーとかヨード香とかウィスキー特有の香りがあったり、甘い香り、スパイシーな香りなど、味覚や香りのバリエーションが富んでおり、飲んでみたら、ウィスキーの思い込みを覆されることはたくさんある。日本の安いウィスキーしか知らないでいると人生をかなり損している。

ソーダ割自体がブームなので、そんな美味しいウィスキーをソーダで割るのも今ではアリだ。
うちの店では、角ハイボールは置いていない。それはどこでも飲めるからだ。
スコッチウィスキーのハイボールをぜひ試してほしい。一杯二杯と飲むうちに角ハイにはもどれなくなること請け合いである。

そうやって、ソーダ割でウィスキーの門をくぐったら、あとは自分の大好きな銘柄を探してほしい。

そして、見つけた自分の大好きなウィスキーを何度か注文して、
そうやって、「マスター、いつもの」と言ってほしいものだ。

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