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愛着障害になりやすい性格はありますか?|病前性格はないが、障害のタイプが異なる場合がある

【質問】精神疾患には病前性格を聞きますが、愛着障害は人格形成以前の影響で性格というか気質などの関係はあるのでしょうか?

【お返事】愛着障害になりやすい性格や気質というものはありません。なぜなら愛着障害は、すべて養育者との関係性が100%影響しているからです。つまり外部要因によって愛着障害になるわけです。愛着障害は、DSM-5でも、PTSDのカテゴリーの中に入っていることに注意してください。なぜそこに入っているか?PTSDは外部要因ですから、愛着障害も外部要因ということを診断基準でも表明しているわけです。

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■病前性格とは

病前性格とは、病気になりやすい性格です。たとえば「内省的で、自分のことを深く思い悩む性格の人は、うつ病になりやすい」とかです。もう少し学術的に言うなら、

他者配慮、几帳面、過度の良心、責任感の強さ、仕事熱心など

これらをメランコリー親和型性格といい、うつ病になりやすい性格と言われたりします。最近はそうではないという論文もありますので、あまり病前性格というものを考えなくてもいいかもしれないとも思います。最近では違う性格パターンで考えたりもします。それは、

内向・直観型

ご存じのアーロン博士のHSP (Highly Sensitive Person)です。これも病前性格の話です。繊細さんには、色々なパターンが提唱されていますが、本質は、この「内向・直観」です。適度なHSPならいいのですが、これが「過度に」なってくると病気を発症します。これは、責任感が強いのはいいが、それが過度になりすぎるとうつ病になるというのと同類ですね。まとめると、

・病気になる性格というものを考える必要はなく、その特性が「過度」になるときに病気になる場合がある。HSPも病前性格という捉え方である。

■愛着障害になりやすい気質というものはない

お返事でも書いたことですが、愛着障害は、DSM-5でも、PTSDのカテゴリーの中に入っているわけです。なぜそこに入っているか?

PTSDは外部要因です。つまり必ず原因があるのです。ということは、愛着障害がPTSDに入っているということは、愛着障害は原因があって発症する障害です、ということを診断基準でも表明しているのです。

繰り返しになりますが、何らかの性格や気質によって愛着障害になるということはありません。愛着障害の程度を加速することはあっても、それが原因になることはないのです。必ず、外部要因(心的外傷)が必要なものが愛着障害なのです。一番わかりやすいのが虐待ですね。性的虐待、身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、そして社会的ネグレクト。これらが原因で発症するものが愛着障害なのです。

最近はやりの言葉でいうと、複雑性PTSDともいいますね。まとめると、

・愛着障害になりやすい気質というものはない。外部要因となる原因が必ずある。

■気質によって愛着障害のタイプが異なるときがある

愛着障害になりやすい気質は存在しません。しかし、愛着障害になってもいいはずなのに、そうでもなくピンピンとしている人もたまに見かけるかもしれませんね。

そういう人は、自分を巧妙に隠して他人からわからないようにしているか、それとも性格や気質とは違う別の理由がありそうです。このへんはかなり専門的になりますので、もし気になるようなら、私のスーパービジョンを受けてください。ここでは、もっと一般的なタイプの話をします。

どんな話かというと、気質によっては愛着障害の見え方が変わることもある、ということです。具体的にいうと、ざっくりですが、

・内向的(ASD的)な人→反応性アタッチメント障害
・外向的(ADHD的)な人→脱抑制型対人交流障害

このような見え方をするように思います。これは私の臨床経験によるもので試論です。何かの論文があるわけでありません。しかし、先ほどのDSM-5の愛着障害の部分を見てみると、

・反応性アタッチメント障害の診断時の注意点として「E. 自閉スペクトラム症の診断基準を満たさない」こと
・脱抑制型対人交流障害の診断時の注意点として「B. 基準Aにあげた行動は注意欠如・多動症で認められるような衝動性に限定されず、社会的な脱抑制行動を含む」こと

とあります。つまり

・反応性アタッチメント障害の人は、その内向性ゆえに、自閉的に見える場合がある
・脱抑制型対人交流障害の人は、その外向性ゆえに、ADHDに見える場合がある

ということです。ですから、まとめると、

・外向・内向という気質によって愛着障害のタイプが異なる場合があるといえるでしょう。

■まとめ

・ある性格が「過度」になるときに病気になる場合がある。HSPも病前性格という捉え方である

・愛着障害になりやすい気質というものはない。外部要因となる原因が必ずある

・外向・内向という気質によって愛着障害のタイプが異なる場合がある

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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