愛着スタイルや愛着パターンの行動がよく分かりません
【質問】
■不安型愛着スタイルに思えない行動について
思春期心性の人(愛着不全・不安型愛着スタイル)が、甘えを嫌悪し(親への反抗ゃ反面教師) 、回避的に行動し、愛着障害の回避型または恐れ・ 回避型(いづれも不安定型愛着スタイル)のように見えることはありますか?
■愛着パターン、愛着スタイルについて
①また定義の質問ですが、恐れ回避型とは愛着パターンの無秩序型(D)のことですか?
②また反面教師は愛着障害でのみの行動ですか?
③「愛着スタイル」と「 愛着パターン」 の相関がわかりません...(相談者側です)
【お返事】反面教師は愛着(甘え)があることを示しています。また愛着スタイルとパターンの相関はありません。
今回の質問も、かなり核心的な話でプロ向けの話になりますので、相談者側の人は、そんなこともあるのか程度で聞いてください。深く理解いただくには、治療者としての十分な経験が必要ですので。
※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。
■不安型愛着スタイルのように思えないが…
質問者の方の質問を整理すると、次のようになります。
思春期心性の人(不安型愛着スタイル)が、次の行動をすることがあるのか?
・甘えを嫌い、
・回避行動をし、
・回避型あるいは恐れ・回避型愛着スタイルのようにみえる
答えは、原則としてありません。
しかし、不安型愛着スタイルの人でも、例外的に起こる場合があります。原因は、親の社会的ネグレクトの程度が強い場合ですが、この見立てについては、かなり難しいです。
カウンセラー自身が、愛着の問題を持ったケースに何百件も出会っていないと、区別がつきにくいでしょう。ですから、相談者側の視点としては、そういうこともあるのだな、程度に考えてください。治療者が愛着の専門家なら、必須の視点ですので、分からないときはSVを受けてください。
この判別にどのくらいの経験値がいるかというと、臨床心理の治療に当たって5年以上くらいの人向けの話になります。愛着だけでなく、広く臨床の知識・経験が必要です。
■愛着パターンと愛着スタイルについて
愛着パターンとスタイルについては関連記事を参照ください。質問をいただき、分かりづらいと思った部分もあるので、改訂しておきました。質問をありがとうございました。
質問の①と③を解説します。まず押さえておきたいのは、
・子どもは愛着パターン、大人は愛着スタイルと、用語が使い分けされています。
恐れ・回避型というのは大人の愛着スタイルのことで、無秩序型というのは子どもの愛着パターンのことです。ですから、恐れ・回避型は無秩序型ではありません。
こういう質問をされるお気持ちは分かります。U(未解決)型(恐れ・回避型)の母親の場合、D(無秩序)型の子どもになる場合が多いわけですから、関係あると思いますよね。
しかし、質問③の話になりますが、愛着スタイルと愛着パターンの相関を考える場合、
・母親の愛着スタイル → 子どもの愛着パターン → 子どもが成人になったときに獲得する愛着スタイル、ここまで見る必要があります。
母→子→親 を考える必要があります。そうなるとこの3つの状態の相関を考えると、相関がほぼ1に近いもの(つまり、いつでもそうなる)は、次の1つだけになります。
・相関がある場合は1つのみで、親が安定型の愛着スタイルの場合のみです。
例えの、恐れ・回避型の親 → 無秩序型の子ども → ?(子どもが親になると)
この場合、?には何が入ると思いますか?恐れ・回避型の親にはなりません。この回答については、上のWebサイトの記事を参考にしてください。
(個人的には)愛着スタイルは、回避型と不安型、この2本で十分と思っています。実際の臨床の場面でも、この2つを駆使すれば、なんとかなります。
■反面教師の行動
質問②についての解説です。
反面教師の意味を考えてみましょう。これは「逆らえる対象がある」ということです。不完全かもしれないが逆らえるのです。愛着関係があるからこそ逆らえるのです。ということは、愛着不全あるいは定型発達の子どもが取ることのできる行動であることが分かります。
愛着障害の子どもは、親に対して「逆っても意味不明な反応しか返ってこない」と分かっているので、相手にしません。幼少期から諦めています。ですから、「反面教師にすらしない」といえるでしょう。
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