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産後の精神疾患は、愛着の問題と関連があるのか?

【質問】産褥精神病と愛着は関係ありますか?

【お返事】産褥(さんじょく)期精神病の原因はまだ分かっていませんが、精神科医によっては愛着が関係すると判断している人もいます。高橋和巳先生もその一人です。

産後に特化した疾病は次の3つあって、数か月の間で発症します。

1. マタニティーブルー
2. 産後うつ病
3. 産褥期精神病

などです。この順番で重症化します。

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■産褥期精神病とは

まず、産褥期(さんじょくき)の説明からです。出産後2か月くらいまでの期間で、母体が妊娠前の状態に戻るまでの期間です。

この時期に幻覚や妄想などが出現し、錯乱状態になることを産褥期精神病といいます。統合失調症に近い症状なので「精神病」と呼ばれるのでしょう。統合失調症とは違うのは、「出産後」に幻覚が出現するところです。発症率は0.1%。入院治療がメインで、治りは早いとされています。

■産後うつ病とは

産後、極端に悲しくなったり、泣き叫んだり、簡単に怒りが出たり等、深刻な気分の変動があります。数週間から数カ月間続きます。日常活動や子どもへの関心を失うこともあり、カウンセリングと抗うつ薬を組み合わせた治療が行われます。発症率は15%。

◇マタニティーブルー

産後3日以内にみられる症状です。悲しい、惨めだ、などの感情が現れます。たいてい2週間以内に治まります。多くの母親が経験するもので、心配ありません。

■産後の病と愛着の関係について

この関係を考える前に、まず「赤ちゃん部屋のおばけ(ghosts in the nursery)」について理解をしましょう。アメリカの精神科医であるフライバーグが発見した現象です。文字通り、「赤ちゃんが寝ている部屋にはお化けがいる」ということ。出産直後、母親が乳児と2人きりでいる時、急に不安、恐怖、イライラ、倦怠感が母親を襲うことがあります。

これは、単なる育児不安というよりも強烈な恐怖を表現したものです。赤ちゃんの寝ている部屋と言っていますが、実際は「赤ちゃん」に恐怖を感じているのです。昔、ローズマリーの赤ちゃんという悪魔憑きの赤ちゃんのホラーがありましたが、あれくらいの恐怖があるのです。どの程度の恐怖感かお分かりになるでしょう。

すると、産褥期精神病と産後うつ病になった一部の人々には、この「赤ちゃんへの恐怖」があるということです。この恐怖があるから赤ちゃんを育てられないというのとは違います。恐怖を感じながら、精神病やうつ病になりながら、せっせと育児をします。

ではどういう人が、この赤ちゃんへの恐怖を抱きながら育児をするのかというと、それは、虐待をされてきた人々です。ここで愛着が浮上しました。
つまり、実母との愛着を築けなかった母親が、つまり愛着障害の母親が赤ちゃん部屋のおばけを体験し、産褥期精神病や産後うつ病になることが多いのです。

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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