【大阪クリニック放火事件】モンスターペイシェントへの対策は?|まずクレーマー化させない努力を!

【質問】質問していいのか迷ったのですが、不快でしたらスルーして下さい、、、 大阪の心療内科の火事の件、プロのカウンセラーの高間先生はどう思われていますか。

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

【お返事】大阪の事件は、カウンセリングの業界でも他人事ではありません。事件の背景には、診断書をめぐるトラブルと容疑者の人格的問題があるようです。こういう人をクレーマーにしないために、カウンセラーや医者はどうすればいいのでしょうか。あのような事件は珍しいことではないという認識のもと、われわれが日々の臨床に集中できるよう、事件についてまとめておきます。

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

2021年12月17日に大阪・北新地の心療内科クリニックが放火されて25人が死亡した事件について振り返ってみます。文春オンラインの記事から、まず概要を整理しましょう。

■心療内科クリニック放火事件について

  • 放火と殺人の疑いが持たれている谷本盛雄容疑者(61)は死亡した。

  • 院内の入り口近くに設置してあった防犯カメラには、谷本容疑者が両手を広げて出口をふさぎ、中にいた患者を奥に追い込むような仕草や、逃げる人に体当たりして逃さないようにしている様子が映っていた。非常階段に通じる扉に外側から粘着テープのようなものが貼られており、消火栓にも使いにくいように細工がされていた。クリニック内では刃物も見つかっており、執念深い殺意(と計画性)が感じられる。(凶悪犯罪である。)

  • クリニックの院長であった西澤医師は真摯に患者と向き合って治療していた。

◇谷本容疑者の素顔は?

  • 2008年秋頃に離婚した。その後に孤独を深め、元妻ら家族と無理心中を企てた。

  • 2011年4月には長男の頭部を何度も包丁で刺す事件を起こして服役している。

  • 真面目で職人気質でむやみやたらにペラペラ喋らないタイプ。工場での経験もあって、技術は他人とは比べ物にならないくらいずば抜けていた。

◇なぜ事件が起きたのか?

  • 事件が起きてしまったクリニックは、診断書を書いてもらいやすいという評判もあってトラブルも多かった。心療内科や精神科が出す診断書には、生活保護の申請などさまざまな用途がある。ある病院の関係者によると、内容などをめぐり病院側と患者の間でトラブルになることが近年増えているといい、今回の放火事件の動機が注目されている。

  • 事件前に、亡くなった西澤院長から患者とのトラブルを聞いた院長の父親が、警察に相談をしていたという情報もある。谷本容疑者とは関係がなさそうだが、クリニックでのトラブルはそう珍しいことでもなかったのかもしれない。

結論は2つの側面があるようです。まず、「診断書」をめぐるトラブルの可能性が高いようです。しかし、防犯カメラの映像は、明らかに他者を道ずれにしようとする容疑者の自己本位な姿が映し出されており、人格障害的な側面もあるようです。それは、谷本容疑者の特徴を見ても分かる通りです。

こういう容疑者には、クレーマーにしないための特別な努力が必要です。その努力をしていても事件は起きてしまうのですが…。

■事件後の他のクリニックでの対応

患者さんに、次のように寄り添って説明する医師もいます。今後の参考にしてください。カウンセリングルームでも使えます。

  • 事件や自死はあることなので大丈夫

  • 事件のことで動揺したり落ち込んだりするのは当然のこと

  • 小さなトラブルはあっても、大多数の患者さんはなんとか今の状態を脱するために頑張っている真面目な方ですから大丈夫

■カウンセリングルームでもあり得るのか?

カウンセラーは診断書は書かないので、診断書をめぐるトラブルはありません。しかし、ちょっとした一言で相談者の方を傷つけて、怨恨を残すことはあり得ないことではありません。また、人格的にヤバい人に数年に1回は遭遇するようです(あくまでも高間調べ)。

  • 怨恨を最小限に食い止めるため、相談者をクレーマーにしないよう最大限の努力を払う。ここには、心理臨床家としては大切なものがたくさんあるように思います。ちゃんと受容していれば、そういうことは起きません。

  • 人格的にヤバいと思われる人でも、カウンセラーの度量によってはヤバくない人もいます。つまり経験が浅いと、うまく対応できないため怒りに着火させることが起きやすいということ。この場合は、もっと心理臨床家として経験を積んでくださいね。

  • それでも、ヤバいという人はいます。そういう人は、数分話していれば分かります。できるだけ刺激せずにお帰りになっていただきましょう。この話の詳細はオフレコで。

  • クレーマー対策マニュアルや研修というものは存在しますので、そういう研修を受けてみるのもいいでしょう。▶医療従事者のためのモンスターペイシェント「対策」ハンドブック―院内暴言・暴力は許さない!

命を落とした方のご冥福をお祈りします。けがをされた方の治療も順調にすすみますように。

■まとめ

  • 診断書をめぐるトラブルと容疑者の人格障害的側面が合わさって発生した事件の可能性がある

  • 治療者には、怨恨を最小限にしてクレーマー化させない努力と技術が求められる。

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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