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大雨・洪水・台風での床下浸水から自宅(一戸建て)を守るために知っておいた方がいい家の構造と対策

8月なのに梅雨のような長雨です。
線状降水帯なる聞きなれない雨雲により各地にまた甚大な被害が起きています。
地球温暖化が叫ばれて久しいですがさすがに昨今の異常気象の発生比率を考えるといよいよ待ったなしなのかもしれません。

こう毎年毎年、大雨による被害が起きると一戸建てに住み始めて2年半ですので、さすがに対策を考えなければならないと自分なりに色々と調べましたので共有します。

結論を先に書くと、対策は屋外用の防水テープをまずは買っておくなのですが、なぜ必要なのかどこに貼るのかを知るために、ここからちょっと長いのですがお付き合いください。

床上浸水と床下浸水の違い

床上浸水と床下浸水の違いは消防庁の災害報告取扱要領で定義されています。

床上浸水・・・住家の床より上に浸水したもの及び全壊・半壊には該当しないが、土砂竹木のたい積により一時的に居住することができないものとする。

床下浸水・・・床上浸水にいたらない程度に浸水したものとする。

また国土交通省では浸水の深さと建物被害の目安を以下のように定めており、床上浸水は大人の腰までつかる50cm~1mの深さ。床下浸水は大人の膝までつかる50cmまでの深さとされています。

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床下浸水は火災保険の適用外

火災保険の水災補償を付けている方も多いかと思います。
この火災保険の水災補償の支払要件の1つに「床上浸水または地盤面から45cmを超えて浸水した場合」があります。

つまり床下浸水の場合は、浸水の深さが45cm未満であった場合は火災保険の水災補償の適用外となってしまうということです。

布基礎とベタ基礎の違い

30年ほど前から日本の住宅の建て方が大きく変わっています。
旧住宅金融公庫が高耐久性住宅の場合に融資上限を引き上げる優遇措置を取ったことが一番のきっかけと言われていますが、それまでの布基礎から、ベタ基礎と呼ばれる住宅の底一面を鉄筋コンクリートで支える方式に変わっています。

今や主流のベタ基礎の場合は適用外なのですが、布基礎の場合は建築基準法で床の高さを地盤面から45㎝以上にしなければならないと規定されているので、火災保険の水災補償の支払要件で浸水の深さ45cmと規定されているのです。

布基礎

(↑昔の布基礎)

ベタ基礎

(↑今のベタ基礎)

ベタ基礎の床の高さ

今や基本的には住宅の基礎はベタ基礎です。そうなると45cmという床の高さの規定はありません。

では現在の一般的な一戸建て住宅の床の高さは何㎝なのでしょうか?
ベタ基礎の場合、基礎の立ち上がりは建築基準法上30㎝が必要となっておりますが、40㎝で作られるのが一般的となっています。
これは住宅ローンの一番人気であるフラット35を利用する場合の新築住宅技術基準に40㎝以上と定められているからです。

では床の高さは地盤面から40cmのところにあるのかというとそういう訳ではなく、そこから木材を置いて家を組み立てていきますので平均的にはさらに20cmほどは高くなっています。(※ベタ基礎の場合床高さの規定がありませんので、基礎立ち上がり部分よりも床の高さを低くすることも可能ですので、各自ご確認をお願いいたします。)

真に警戒すべきは床下浸水

ここまで見てきたように現在の一般的な一戸建て住宅では、国土交通省が定めている床上浸水の基準の最低高さよりも高い位置に一階床が設置されていることになります。

そうなると以前よりも床上浸水は起きにくくなっており、必然的に床下浸水の発生確率が高くなっています。ですのでどうやったら床下浸水を防げるかを考えることがもっとも重要な事項であると言えます。

床上浸水が大惨事であることは、台風のニュースなどを見てご存じかと思います。汚水、汚泥が流れてこんできていますので、家財はもちろん床材なども基本的には剥がして張り直しとなってしまいます。

ですので、そこまでに至らなかった床下浸水は大したことないと思われてしまうかもしれませんが、実は床上浸水程ではないにせよ復旧には多額の費用と手間がかかります。

床下浸水後に欠かせない3つの工程

いまは一戸建ての床下はベタ基礎なので、簡単に言えばコンクリート囲いのプールになっています。そこに汚水、汚泥がたまっていますのでとにもかくにもいち早く排水をすることがまず必要です。泥はかき出し水で洗い、さらにその水を排水する必要があります。

排水の次は乾燥です。生乾きの状態ですとカビの発生やにおいの原因になりますのでしっかりとした乾燥が必要になります。

そして最後は消毒です。浸水してきたのは雨水だけではなく汚水や下水も混じっていますので、消毒をしないと雑菌が繁殖し、においだけでなく感染症の原因にもなってしまいます。

自分の家の床下浸水リスク

さすがに山の上に住んでいて床下浸水はどんな大雨が降ろうと起きません。
では自分の家は床上浸水が発生する可能性はどのくらいあるのか?
まずは事前にそれを知ることがスタートです。
各市区町村ごとにハザードマップが用意されており、大洪水時の浸水深さ想定が色分けされて表示されています。

自宅部分が白地図のままであれば安心ですが、薄い黄色がついていたら床下浸水リスクがあるエリアです。色が赤みがかってくると床上浸水、もしくは2階までの浸水などということになってきますので該当エリアにお住いの方は、浸水を防ぐということよりもとにかく災害時にはまず避難をするということを忘れないようにしていただきたいと思います。
https://disaportal.gsi.go.jp/index.html

床下浸水を防ぐことは可能なのか?

知れば知るほど絶対に防ぎたい床下浸水ですが、いざ台風などがやってきてその発生リスクが高まった時に防ぐことは可能なのでしょうか?

床上浸水レベルはさすがに防ぎようがないと思われますが、床下浸水と床上浸水のギリギリくらいの浸水深であれば対処の仕方によっては防ぐことも可能です。

浸水は家の壁から染み出てくるわけではありません。どこかから侵入してきます。ですから本当は浸水ではなくて、「侵水」と呼んだ方が実態を表しています。

その侵入経路をふさぐことができたら、床下浸水は防ぐことができます。
ではどこから水は侵入してくるのかを詳しくみていきたいと思います。

水の侵入経路(布基礎)

ベタ基礎の今の一戸建てでは床下への侵入経路はどこにもなさそうな感じがしますが、床下は常に換気されていないといけないので必ず通気口が設けられています。

築年数が古い布基礎の一戸建てでは、猫や犬などが入り込んでしまわないように格子の柵が設けられて大きめの床下通気口が設けられています。

布基礎の換気口

(↑布基礎の換気口)

当然布基礎の場合この換気口から水が浸入してきます。

水の侵入経路(ベタ基礎)

現在のベタ基礎では全方位確認しても布基礎のような通気口は見当たりません。
ではベタ基礎は通気口がないのかというとそういう訳ではなくむしろ布基礎の当時よりも多くの通気口が設けれられて換気状態はよくなっています。

ではその通気口はどこにあるのでしょうか?

ベタ基礎の場合の通気口は特定の箇所ではなくじつは全方位に存在します。
それを理解するためには、ベタ基礎ができた後の工程を知る必要があります。


ベタ基礎の通気口(基礎パッキン)

コンクリートのベタ基礎ができた後、木で家を建てていくのですが、その木とコンクリート基礎の間に、硬質な樹脂製で厚さ約2㎝ほどの「基礎パッキン」と呼ばれる部材を設置します。

いくつかの種類がありますが、写真のようなパッキン自体に通気口が設けられているものや、設けれらていないものは隙間を適度にあけながら配置していきます。

基礎パッキン②

(↑基礎パッキン)

基礎パッキン①

(↑基礎パッキン施工中)

基礎パッキン③

(↑下からベタ基礎・基礎パッキン・木材)

この基礎パッキンがあるからこそ、今の一戸建ては大掛かりな床下通気口を設ける必要がなく、全方位換気になっているのです。

基礎パッキンと水切りの通気口が侵入経路

上の写真は建築途中なので、基礎パッキンがむき出しになっていますが当然この後外壁も張られ、雨水が入ってこないような水切りと呼ばれる金物が取り付けられます。

この水切りは当然、住宅全周に取り付けられています。
この水切りが上から降ってくる雨水は通さずに、換気だけを行うための基礎パッキンとセットでの必需品になり、ご自宅も確認していただくとベタ基礎であれば必ず取り付けられています。

つまり、この水切りの通気口と、基礎パッキンの通気口が換気口であり、同時に水の床下への侵入経路になります。

水切り

(↑水切りの通気口と基礎パッキンの関係図)
※城東テクノ株式会社さんのサイトよりお借りしました。
https://www.joto.com/product/4-1

床下浸水の防ぎ方

とにかくこの侵入経路をふさげばいいので、屋外用の防水テープでこの水切りの穴をふさげばいいのですが、上の図を見てもらってもわかるように外壁材と水切り間は通気できるように隙間があります。
外壁の内側には防水シートが貼られているものの、汚水を含んだ水と考えるとここからの侵入も防ぎたい気がします。
でも危険が去った後には剥がすことを考えると悩ましいところです。
現在外壁材(サイディング・モルタル)は塗装の膜でバリアをはって外壁材自体の耐久性を高めています。
屋外用の防水テープはどのメーカーのもそれはそれは粘着性が高そうです。おそらく剥がすのに一苦労。もしくは剥がせず通気部分だけ切って処理するということにもなりそうです。
外観上の見てくれの問題と、うっかり剥がせた時におそらく塗膜も剥がしてしまうでしょうから、バリア機能が取れてしまい劣化が一気に進んでしまいます。

外壁内部の防水シートは水切りの上に設置されますので、外壁通気部分からの浸水は最小限であろうと判断し、私は水切り部分だけに防水テープを貼ります。

もちろん玄関扉からの浸水もありますのでこちらも何とか防ぎましょう。

そしてもちろん私もこれを実践していませんので、効果を保証することはできません。でも私が自分で考えうる限り取れる対策はこれだと思いますので、とりあえず防水テープを発注します。(ハザードマップで薄い黄色エリアなので・・・)

※防水テープの1つだけ注意点。
幅50mmだとちょっと心許ないので、幅は100mm以上がいいと思います。長さはご自宅の外周分がもちろん必要です。


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