熱されていたティーカップが、段々ぬるくなった。 最後にソーサーから冷めて、空っぽになる。 冷めてしまったアールグレイは、角砂糖を入れすぎたせいで、随分と甘ったるかった。 美味しい紅茶を淹れるには、ポットは丸く、それをゆっくりと暖めて、お湯より先に、ティースプーン一杯の茶葉を入れる。 そうじゃないと茶葉が浮いてしまうから。 お湯の温度が低すぎてはいけない。 保存していた茶葉を空気に晒すのも。 紅茶があたたかいうちに過剰な砂糖を入れてしまうのが、私の悪い癖だった。 たっ
独白 私はついに、貴女への想いを連ねた文章を、手紙として貴女に贈ることができませんでした。 亡骸のようなこの文字たちをどうか、昇華させてあげてください。 私は、この手紙をどう書き始めようか、そう悩んで1ヶ月もの時間を過ごしてしまいました。 いえ、決して忙しさにかまけていたとか、筆をとる気がなかったとか、そんなものではないのです。 それはもっと簡単で、この手紙を書き始め、そして書き終わることへの畏怖と、貴女にこの手紙を読んでほしくない、そう思っていたからです。 私としては
生活のなかのふとした時に、思い出される場所でありたいと思うのです。 私が文字を書く理由。 それは、「嬉しい」という感情を抱いたとき、より綺麗な言葉で彩りたいと思うからです。それが人の心に残るような、水面に波ができて、緩やかに沈んでいけるような感情であってほしいから。 私は自分が書く文章が、かなり抽象的であることを自覚しています。 言いたいことを予め提示して、結末をハッキリさせたいという人には、私の文章は煩わしく感じることでしょう。 それはその人が、直観的に生きれる人だという
太陽と月。 もっとも素直にラテン語に直すと、sol et luna。 発音は、「ソール エト ルーナ」。 それを滑らかにした発音が、「ソーレトルーナ」と呼ばれます。 太陽と月は、古くからの歴史がありました。 それは人類が存在する、もっと昔から、私達の想像しきれないほど、気が遠くなるほど昔。 宙には無数の星が散りばめられていて、でもそれなのに、どうして太陽と月だけが特別隣合わせのように表現されるのか、もっとも、科学的な話だけれど、そうではなくて。 もっと直観的な、動物的な考