新しい人格ができるまで

美術の時間。

夢中でこねくり回した後、色を付けた粘土を見て、まだここをこうしたいな、と、ただそれだけを考えた。

ふと思って周りを見渡すと、自分とは全く違う尤もらしい作品が、各々のクラスメイト達の目の前にあった。

途端に不安を感じる。

自分が作ったものは、自分の考えは、もしかして浮いている?


好きなものを聞かれた。

ほとんど生まれた頃からと言っていいほど好きなものを答えた。

皆の反応は芳しくなかった。

他の子がみんなの知っているものを答える。

皆が湧きたつ。


学校という狭い空間に毎日行き来し、毎日クラスメイトと顔を合わせる。

気が付いたら6年も経つうちには、自分が微妙に他人に受け入れられにくい特性を持っていることはよく分かった。


でも私は、他人に受け入れられたいのだ。
そして、仲間が欲しいのだ。


なぜ自分が他者と違うのか、自分のことが最も分からない。

自分を知ろうと、自己と他者を比べる。

自分はこう思った。他者は?
自分はこう動いた。他者は?

あるとき、みんなに受け入れられない自分自身の回答と、受け入れられる他者の回答を比べ続けて、ついに気が付く。そこには一定の法則や傾向があることに。

そして私は手段を見つける。

そっか。人に向ける用の自分を作っておけばいいんだ。

こうして私の中にもう一人、社会性の高い自分ができあがる。

どっちが自分自身だったか分からなくなったころ、私はもう一度自分を見失う。

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