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片付けられない人が誰かと暮らす時の心得(自戒)

 私は正直、片付けが苦手だ。
 使ったものは元に戻さず手の届く所に置いてしまうし、洗い物も洗濯物も貯めてしまいがちだし、多少なら埃っぽくても掃除機がけをサボってしまう。
 そんな怠惰な私だが、既婚者で夫と2人暮らしをしているので、さすがに1人で暮らしていた時よりは気を遣うようになった。

 ……けれど気を遣いすぎて、疲れてしまった。

 まさか倦怠期より前に片付けに対して心が折れるとは思わなかった。
 たかが清掃、されど清掃だ。本気でやろうとすると工程が多く、また参考にしたのが根っからマメで綺麗好きな伯母の生活だったこともあって、大雑把な私は完全にパンクしてしまった。
 怠惰な性格が一朝一夕で改善できる訳もなく、けれど、私のせいで夫婦で暮らす家がぐちゃぐちゃになっては困ってしまう。どう対処すべきか悩んだ。

 悩み抜いてたどり着いた結論は、こうだ。

 ――夫が困るような散らかし方はしない。
 ――散らかしたとしても、夫に片付けさせたりはしない。

 極論、自室はどんなに汚くてもいい。ただし、共有スペースは綺麗に保つことを意識するようにした。
 もちろん私1人でがんばってはきっとまたパンクしてしまうし、勝手に不満をためて喧嘩になっても困るので、夫にも同様のことをお願いした。

 リビング、キッチン、トイレなどはお互い気をつけて最低限綺麗に保ち、その代わり、自分の部屋は好きにする。
 相手も使うようなものはちゃんと使用後元に戻すけれど、個人の私物は無くしても自分の勝手なので、好きにして良い。

 明確にこう決めた! というのではなく、上記のようなことをぼんやりと雑談に交えて話し合い、なんとなく意識して生活することにした。カチカチに決まりを作ると臨機応変に対応できなくなったりして、お互い疲れてしまうと思うのだ。
 例えば、現在私は専業主婦なので、仕事で疲れて帰ってくる夫が多少散らかしても片付けるようにしているし、反対に私が体調を崩した時には、夫が私の分まで片付けてくれている。
 お互い様の精神で、余裕が無い時はサボってOKにしてしまった方が、少なくとも私たち夫婦は上手く回るのだ。私がまた仕事を始めれば今より夫に色々お願いすることにもなるだろうし、そのあたりもバランスよくやっていけたらいいな、と思っている。

 また、見た目を整頓することを意識するあまり、利便性が下がってしまう事も避けなければならない。
 これは最近ようやく理解した。箱や引き出しに綺麗に詰め込んだところで、使いたい時すぐに出せねば意味が無いのだ。
 当たり前のことかもしれないけれど、片付けられない人間歴30年の私は「とりあえず床や食事スペースに邪魔な物がなければ見栄えOK!」みたいな考え方しかできなかったので、これはかなりの大発見だった。
 私のように片付けられない、片付けてもすぐに散らかしてしまうという方、すぐ使うもの、よく着る服なんかを片付けの際、奥にしまっているのが原因かもしれない。
 手前のものを全部綺麗に出してから必要なものを取る、なんて丁寧なことが毎回出来ていればそもそも「片付けられない」などと悩んでいないわけで、手前のものを掻き分けて目的のもの引っ張り出すので、そりゃあぐちゃぐちゃにもなるというわけだ。

 こうした意識改革をもって、誰かを家に呼ぶのなら片付けのために3日間は猶予が欲しい生活をしてきた私でも、なんとか他者と暮らすことが出来ている。自宅が常に綺麗かと問われれば、正直首肯できないところではあるが、夫にたまに苦笑いされる程度で済んでいるのは僥倖だ。
 また、相手に負荷をかけない程度にがんばるというのは整理整頓以外でも共同生活において大事なことだと思うので、無理無くこれからも意識して生活していきたい。

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