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第1回「そいつ」10月❶

プロジェクトというほどではないけど、試しにやってみたいことを思いついた。
週一で、同じ映画を見る。ただそれだけ。

観る映画は「遊星からの物体X」、つまり「THE THING」です。

ルール

  1. 毎週1回「遊星からの物体X」をみる

  2. 毎週1回みて、気づいたことを書く

  3. 木曜または金曜の通勤時間で見る

  4. ネタバレとかは気にせず書く


通勤中というのがミソ。
通勤に片道1時間ほどかかって勿体無いなと思っていたので。
ただし月火水は、「ラジオでドイツ語入門編」と「放送大学」での勉強がある。
木金のどちらかの通勤中に映画を見る。
そして書く。これだけ。

視聴環境

ほぼほぼ電車内での視聴となる。
デバイスはiPhone se(3G)。
イヤホンはMacの有線イヤホン。
そのため画面は小さく、音質についても良好とは言えない。
よって製作陣が期待する映画館という環境からも程遠くなってしまう。この点については留意しておく必要がある。

iPhoneでは、映像の移り変わりに対して、視聴者(わたし)の視界に全て収まり、目の動きが少ない。そのため、映画館での体験と比べると、映像の動きの気持ちよさが圧倒的にこじんまりとしてしまい、静的になると思う。
同様に音に関しても、イヤホンでは立体感や音域の狭さの限界もあるし、さらには電車内の騒音などの作品外の干渉も気になる。

あくまで「通勤中のiPhoneでの体験」という狭苦しい体験ということは気をつけないといけないかもしれない。
つまり製作陣の意図から離れすぎた意味の汲み取りになる危険性もあるわけだ。
(もちろんそれを理解した上で、新しい価値の発見はあるかもしれないが)
なので、30代サラリーマン男性が、決まった時間帯に決まった映画を見続けることの変化の記録なのかもしれない。

私と「そいつ」

映画オタクでもなく、ジョンカーペンター(以下、ジョンカペ)の作品も網羅しているわけではない私。
ですが、やっぱり好きな映画監督ならジョンカペと答えます。もちろん、遊星からの物体X以外もジョンカペ好きでdvdを所持してます。
でもやっぱり遊星からの物体Xが好きで、何回も見返していました。

(関連作品)

  • 「遊星よりの物体X」未視聴

  • 「遊星からの物体Xファーストコンタクト」視聴

  • 原作「影がいく」未読

  • ps2のソフトは未プレイ

  • 昔のインタビュー本も未読

  • ジョンカーペンター読本は所有

マニアといえるほどではないが、好きな映画に挙げてる人といったあたりかと思ってます。

第一回目 10/5通勤電車

火とひとかどの男

遊星からの物体Xはいうまでもなく火の映画でもある。
物体Xは暗闇の中で正体を表す。暗闇のなかでその正体に光を当てるためには火が必要だ。
一方で、火、火器は物体Xにも人間にも恐怖の対象である。この作品で1番に火を起こすのはマクレディであり、この作品を火で終わらすのもマクレディだ。マクレディの導く「火の海」はいつも自分に帰ってくる。チェスはもう2度と出来ないし、南極を生き抜くための基地はもうない、当然だが常に火は自分たちに帰ってくる。
ノルウェー基地からの来訪者は手榴弾で火を起こすが、彼は自分の仲間とヘリを失う。使いこなせない銃を撃ち続け、ギャリーに撃ち殺されてしまう。
ジョンカペの世界で火を握れる人間は、ひとかどの人間でないといけない。

銃を最初に握る男 ギャリー

火を最初に起こすのはマクレディだが、彼は火を使いこなしているわけではない。彼は火を使う覚悟があるだけだ。
火器(ここでは少し強引かもしれないが、銃も含めて考えてみた)の使い方を初めから心得てる人間は、アメリカ基地ではギャリーしかいない。基地をズケズケと侵入するノルウェー人に対して、倒れ込んでビビるのはギャリー以外の11人だ。
ギャリーは戦いを知っている。戦いには慎重さが求められるのを知り、基地を出ない。
窓ガラスを破り、彼はノルウェー人を撃ち抜く。始まって数分、ギャリーはアメリカ基地で唯一、銃を撃てる男だ。

ここからギャリーはアメリカの研究隊の決断において、常に主要なメンバーとなる。
ノルウェー基地に行くとなると、天気が悪いのを理由に渋るマクレディに運転を指示する。銃を握る人間は主導権を握る。

しかしギャリーの主導権は長くは続かない。
十年来の友人であるベニングスの感染を彼は受け入れられなかった。
この時、物体Xを焼殺するよう指示するはマクレディだ。
ここからギャリーの主導権は揺らぎはじめる。血液パックを破ったと疑われるのも、その原因の一つだ。
ギャリーの主導権が揺らげば、隊員たちの互いの信頼は崩壊に向かう。1番にパニックになったのはウインドウズだ。ギャリーは彼にむかって銃を向けるものの、マクレディに止められる。
ギャリーは自ら銃を下ろす。
ここから銃を握るのはマクレディとなる。

銃を下ろさない男、マクレディ

マクレディはそもそも自分から銃を握るタイプではなく、酒瓶を握る男だった。酒は退屈な現実も、めちゃくちゃな事態もすべてどうでも良くさせるからだろう。
マクレディには火を使う度胸もあったが、それを正しい方向に導く忍耐と理性を持ち合わせてなかったのかもしれない。
一方で物体Xという違和感を、ノルウェー基地で1番に目で確認した人間のうちの1人だ。彼はその時、同時に焼殺された遺体を見る。ジョンカペのゲームの中では火を握るものが制することを、ここてま気付き始めたのかもしれない。
その経験からか、倉庫の喧騒に気づくのも、火炎放射器を持ってくるように指示するのもマクレディだった。
マクレディは少しずつゲームのルールを理解しているように思える。
彼はベニングスの死のあと、ウインドウズ騒動をおさめたことで、ひとかどの男と隊員から認められ銃を握ることになる。

興味深いのは、この後のマクレディの信頼の失墜だ。マクレディが物体Xに感染してると疑われてしまい、彼は基地から閉め出されてしまうシーンについてだ。
信頼が失墜した時の対応は、マクレディとギャリーとでは対照的だ。ギャリーは自分が疑われたことから、自ら銃を置き主導権を譲っている。
しかしマクレディは、銃を譲ることもなく、はたまた信頼を取り返すよう説得をすることもしない。彼は火を選ぶ。火薬室のダイナマイトだ。
彼は、信頼よりも火こそが主導権を握る鍵だと知っている。テープレコーダーに独白するとおり、お互いの信頼は崩れ去り、もはや取り返しがつかないことも気づいてたからかもしれない。

完全に余談だが、ファーストコンタクトでも、同様にT字の廊下で主導権がすり替わるところが面白い。ファーストコンタクトこそ、主導権を誰が握っているか、ということが作品のテーマに関わってくる。

銃を撃てない男、銃を選ばない男、銃を受け取らない男

物語の後半ともなると隊員たちは銃や火炎放射器を装備し、互いに銃口を向け合う。
その中で特徴的なのは、ウィンドウズ、クラーク、ノリスだ。
マクレディはウィンドウズと2人で火炎放射器を構え、娯楽室で物体Xと対峙するシーンがある。マクレディの火炎放射器は調子が悪く、代わりにウインドウズが物体Xに火炎放射器を向けた。対峙するウィンドウズ、しかしその異形と向き合った彼は火炎放射器のトリガーを引くこともできず、呆気なく物体Xに食われてしまう。
火器を持ち合わせたものの、彼にはその火の二面性を使いこなす度胸がなかったのかもしれない。火器の有効性は間違いなく理解していたのにだ。事実、彼は以前パニックになった時1番に向かったのは散弾銃の保管場所だったはずだ。

一方で、度胸はあれど、銃を選ばなかったのがクラークだった。彼の印象的なシーンは、医療用メスを武器として隠し持っているところだ。彼は暴力の有効性を知っているし、その度胸もあるのに、火を選ばない。もしかすると、動物にもっとも心許してるキャラクターだからかもしれない。皮肉ともいうのか、そんな彼は物体Xではなく、人間の火器によって殺される。

最後に、コンセンサスは得られても銃を握らなかったノリスがいる。彼はすでに物体Xに感染していたためか、主導権も銃も握ることができなかった。「僕には出来ない」の一言で彼は辞退する。その判断がノリス自身のものか、物体Xのものかは分からなかった

来週に向けて

とりあえず今回は火について感じたことを書いてみました。
かなりストーリーに重きを置いて見てしまったので、映画的な豊かさがだいぶ抜けてしまった気がし、後悔してます。
考察サイトとか見たことないけど、こういう退屈はな感じなんだろうか。
あと1回目だからイキって、自分にしては量多めになったのが恥ずかしい。

次回の目標は、
❶文量少なくてもいいから続けること❷もっと映像的なところを感じたいこと

とりあえず来週も見て書きたいです

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