なぜあなたと好きなものを共有する必要が?
私は流行を追いかけることをしてこなかった。両親がそういう世間で人気の娯楽にアンテナを張っていなかったし、情報の仕入れ方がわからなかったから。
だから人と話が合うことは少なかったし、人と同じものを好むということもあまりなかった。
「ねえ、暇なとき何してるの?」
「趣味は何?」
こういう質問に答えることは苦手だ。どうせ答えてもあなたは知らないか、つまらないと思う……というのが本音。
だからできるだけこういう質問に合わないようにこちらが質問攻めするか、会話の輪に加わらないように気を付けている。
似たようなことで困っているのが定期的に恋愛について聞いてくる友達がいることだ。彼女は6年間部活が同じだった友達だし、それこそ中高の部活では会うたびに恋愛の話をする文化があったから彼女が悪いわけではない。私もその文化とか空気感が楽しかった。
でも、今の私は別に恋愛的に好きな人がいない。一日一日を過ごすのに精いっぱいで、愛だの恋だのいっている余裕が私にはないのだ。そんな状態の私に恋バナを期待されても困る。なんかもう誰かを恋愛的に好きになれる気がしないから、面白い話なんてこれっぽっちもできやしないのだ。
好きなものは一人でのんびりと愛でるに限る。別にそれで困ったことはない。少しさみしいことがあっても。
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