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蓋がない

ずっと、何かとても単純なのにわかっていない大切なことがあると思っていました。それがわからないと何か表現するとき、困るんじゃないか?何か表現しても伝わらないんじゃないか?と心配している自分がいつもいました。でも、それはちょっと間違った認識で、その大切な何かがわからないことの中に答えがあるんじゃないか?という思いが箱を作るたびに浮かんできました。そんな箱が教えてくれた2つの「ことばの積み木」です。

「ふるさと」

紙に線を引くだけで
線の右と左が現れる

箱を一つ作るだけで
箱の中と外が現れる

私という箱は
このひとつながりの世界に
内と外、自分と他人
あなたと海、私と空を
つくりだす

線を一本引くだけで
人は迷子になり、
その線を一本消すことで
人は帰るところを
見つけようとする
「蓋がない」
毎日、探し求める
まだ開けたことのない
自分の蓋があるはずだと

でも、どこを探しても
蓋なんて瞼くらいしか
見当たらない

あちこち探し回り
途方にくれ
くたくたに疲れ
休んでいたら
それはあった!

それは、
探すと見つからない
探さないとここにある
そもそも、それは
自分で開け閉めできる
ようなものではない

箱はとても不思議なものです。中に入れたものが見えなくなるし、蓋をあけるとそこに入れたものがある。頭で理解していても、目やお腹には理解できない感覚があります。この感覚は簡単に見落としてしまいがちな、些細なことのようで思いのほか大切なこと(ふしメガネの出番ですね)だと思いました。



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