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夜の家庭菜園観察

夜といっても日没後、暗くなるまで、畑を見てまわった。

薄暗い空間にカボチャの葉が昼間と同じように大きく開いている。

蜂や蝶のいない、静かな畑。
そっと触れると、まだ昼間の暖かさがほんのりと残っている畝。

じっとしている草、沈黙の人参。瞑想中のトマト?朝日を待つレタス。畑の角に立つ背の高いいちょうの木が野菜たちを見守っている。どの植物もピースフルな波長に同調している。

獣の気配をうかがう里芋も、ゆっくりと分解される干し草も音なく土に潜るミミズもその波長と共にある。

確認できることのすべては自分の氣付きの空間で起きている。自分のなかにあるピースフルな波長にチューニングすればするほど、さらに深く同じ波長に氣付くことのできるこの世の仕組み。

外を見て、内を知る。

薄暗い畑で、カボチャの葉が大きく開いている、その屈託の無さに寄り添ってみる。

梅雨の季節の湿った空気。突然の夏のような日差し、雨上がりの蒸せかえるような湿度、静寂を音にしたような月明かり、すべてを植物たちは受け入れる。まったく、微塵も抵抗のないその様子に呆れるほど感心し、見習い、氣付いてあげることこそが僕にできる彼らへの小さなお礼。

どこまでもいつまでも一緒にいてくれそうな仲間に出会えた、そんな氣分にしてくれた薄暗い夜更け前の家庭菜園。

言葉では表現できない彼らの沈黙と微笑み、この小さな畑で見つけた終わりのないピースフルな波長が少しでも、読者に伝わればと思います。



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