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コーチ1年目の教科書・「破(マインド&プラクティス)」編

こんにちは。そちゃんと申します。

出張撮影ラブグラフという会社で働きながら、自身のコーチングサービスを立ち上げ、THECOACH Meetや他プラットフォームの登録コーチとして活動しています。THECOACH Academyプロコースを卒業後に認定CACP取得、1年間の総セッション時間は無償有償合わせて350時間にのぼります。

本記事は、1年間プロコーチとして活動し「駆け出した時にあったら良かった」と思えるような学びやアイデアを「守」「破」「離」の3部作として教科書的にまとめます。

このシリーズは、他のコーチのあり方・やり方を否定するつもりは全くありません。また誤った考え方として捉えられる点があることも拭えません。大層なタイトルではありますが、コーチングが少しでも広まってほしい・悩んでいる人がいたら何か助けになったら、という思いで実体験に基づく話で書いてるんだと思って読んでいただけたら嬉しいです(特にコーチの先輩々)。

「破」編は「マインド&プラクティス」と「スキル」の2つに分けて書くこととし、今回は前者のコーチとしてのマインドや実践を中心にまとめます。

前回の記事はこちら

「守」編を読んだ方の感想

公開後に素敵な感想をいただけたので、いくつか貼らせていただきます。


コーチの「破(マインド&プラクティス)」

1. 1人の有償クライアントを見つける

無料セッションを重ねて少し自信がついてきたら、まずはカフェ代やランチ代くらいの有償セッションから始めてみましょう(もちろん数千円以上でもOK)。有償セッションは双方のコミットメントが生まれ、コーチングに対する意識が変わる転換点でもあると思います。自身もコーチとしてより自覚的に成長したいと思えたのは、クライアントからお金をいただいた初めてのセッション後でした。
余談ですが、最初は体験セッションを無料、終了後に「1回1,000円で継続して受けてみませんか?」という提案に合わせて「自分もこれからコーチとして成長していきたい」旨を伝えていた記憶があります。

2. 仲間と励ましあう(仲間を見つける)

破では、選択肢の中から良いものを選び、時に手放し、試行錯誤して変化していく段階になります。この段階で(も) 仲間と対話し学びや体験を深めていくことを重要視しています。

ナポレオンヒル著「思考は現実化する」の中でマスターマインドという概念に触れています。マスターマインドとは以下の通り:

2人以上の何らかの願望や目標を持った人間の集まりであり、またそれらの人々の間で行き交う、波長の合った思考のバイブレーション

「思考は現実化する」より

つまり汎用化すると(コーチングに限ったことではないですが)以下のような問題提起をすることができます。

・自分1人でできることって、思っている以上に少ないのではないか?
・人は自分1人でできると思っているけど、できないことは超多いのではないか?

ということです。個人的には「誰かの協力があればできるようになるかもしれないこと」は容易に過小評価されがちと感じています。守のパートでも既出ですが、「同期と交流」という枠を超えてより広く共通の目的がある人=一緒にコーチングの世界を探求する仲間と励ましあうこと、讃えあうことは個々人のエネルギーの総和を超えたエネルギーが生み出される(場の力)のだろうと思います。

3. 自己のタイプ・モデルに出会う

コーチング周辺領域の学問探究に好奇心を向けていくため、探求のトリガーとして、自分ごと化しやすいユング心理学における「エネルギー」と「機能」によるタイプに自分を当てはめてみるところから始めるのがわかりやすいです(ただしこれらは評価する目的では利用しない)。

https://ameblo.jp/tedkuw717/entry-11888226357.htmlより引用

または、自分のメンタルモデル→「人間が無自覚のうちに持っている、思い込みや価値観」がどんなものかを探求してみましょう。メンタルモデルについての詳細は割愛(以下noteがわかりやすい)しますが、目に見える・体験した事象の奥にはいくつもの自覚されにくい階層が存在し、行動パターンを生み出す思考パターンに気づいていくというものです。

書籍「ザ・メンタルモデル」では、自分のOSを4つの類型に従ってまとまっており、主として働く型がどれかを探求したり、またそれらを形成する要因がいつ・どこから来てるのかをセッションで扱ってり探求してみるのもいいでしょう。自己に向かう好奇心にアンテナを張ることで、自ずとコーチングセッションに活きたり、また生きやすくなるという観点でもおすすめです。

愛なしモデル:自分の真実を生きられない
ひとりぼっちモデル:消えない孤独を抱える
価値なしモデル:他人軸で生き、自分には価値がない
欠陥欠損モデル:人の中で安心して自分でいられない

「ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジー」より

4. 日常にコーチングマインドを取り入れてみる

よくコーチングを身につけて「実世界で葛藤しないか?」という問いをもらうことがあります。確かに、論理的思考が求められることや一部職能(採用など)においては、異なる象限を扱うことになります。ここにおいての自己理解は、バランスを取るが正解です。昔気球船同士に張られた綱を渡る超人の動画を見たのですが、彼はトレーニングだけがあの結果を実現したわけではありません。(想像ですが)生に争う覚悟と度量を養い、トレーニング以外の時間でも平衡感覚をおぼえたりと日々の生活の中でスキル・メンタルと鍛えていたことでしょう。

コーチングも同様に、「自己のあり方」「スキル」の2軸で考えた時にこの両方ともセッション以外でも発揮できます。例えば大切なパートナーと将来について話す時、後輩や友人が悩んでいる時ーもはや一人でいる時さえーなどなど、コーチとしてのマインドであり続けること・時に葛藤することが大事なのかもしれません。これが結果的にセッション中の気づきを増やしたりクライアントにとって満足のいくセッションにつながるのかと思います。

5. セッション録画して振り返る

ある程度のセッション数を積むと、自ずと自分のセッションのクセや方向性が出てきます。それに自覚的になり、授業で教わったことや授業外で身につけたナレッジと照らし合わせるために、クライアントに許可どり(守秘義務を守り、自分で見返すためだけの録画)を行いセッションの録画と振り返りをしてみましょう。セッション中だとどうしても気づけないことが、見返すことで第三者的な視点で気づけるようになります。5-10回に1回程度行うのがいいでしょう。セッション終了後、まだ当日の感覚が残っているうちに見返す時間を確保し、自分のmoreポイントに気づきましょう。

6. If Meポイントを集める

もしコーチングコミュニティなどでトライポッドができる環境があれば、コーチからIf Meポイントを集めましょう。If Meポイントとは、オブザーバー(コーチとクライアントのセッションの観察者)が「もし自分がコーチだったら」という視点でのフィードバックです。往々にトライポッド参加者間のセッション実績の違い等で、従来あるGood & Moreポイントのフィードバックが機能しなくなる可能性があります。If Meポイントは、コーチ&オブザーバー双方にとっての心理的安全性を担保し、その上でお伝えするフィードバックなので、良質かつ新たな視点や気づきを手に入れることができると思います。

7. 体感覚を養う

体感覚を用いたセッションを経験したことがあるかもしれません。それはクライアントが自分の感情や価値観によりアクセスしやすくなることを助けてくれるでしょう。それにアンテナを立てるという意味での体感覚もありますし、コーチ自身の成長を助けるという観点でもあります。
ILP(インテグラルライフプラクティス)とは、トランスパーソナル心理学者のケン・ウィルバーによって生み出された、ボディー(体)、マインド(心)、スピリット(精神)シャドウ(影)の4つの普遍的な領域から、豊かで健全な人生、全人格的発達をもたらす統合的アプローチのことを指します。このうちボディーは、トレーニング・体重のコントロール・デトックスなどを含みます。シャドウという概念はユング心理学で扱う概念で聞き慣れないかと思いますが、以下のような本でカバーすることができると思います。

8. クライアントのあるがままに寄り添う

クライアントのそのままをうつす役割としてのコーチを「鏡である」という隠喩を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。自分を全体性の鏡に映し出すことで気づきが起こる、それはクライアントの全体性をともに扱うことで生み出されます。

コーチングのセッションにおける全体性の一つの解釈として、プライベート・仕事、未来や過去といった「パーテーション」を取り払うことであります。それはつまり、

あるがままであり続けること→自然体でのBeing、その周辺にある知識、経験、思い込みや固定概念とともにあるという全体(ホロン)
寄り添うこと→コーチは自身のかけているメガネに気づき続け、クライアントが自ずと可能性の先へ向かっていく様を支援し目撃する行為

に分けられます。つまるところ、そこにクライアントがいる・ある事実の承認をセッション中に大切にしていくマインドが、クライアントとのパートナーシップ・場の安全・気づきにつながると考えます。

9. お金をモチベーションにしない

誤解を与えたくない章です。
1に書いた通り、クライアントからお金をいただいてセッションを行う有償セッションはコミットメントにおいて大事です(とても自然なことです)。私もプロコーチとして走り出した時は2,500円/1セッションで設定し、そこから継続していただけたクライアントの方々のセッションとは、それまでのセッションと双方の関わり方が変わったのを自覚しています。

お金とコーチングを結びつけすぎると、例えば、支払額がクライアントさんにとってはちょっと無理してしまう出費だったり、本当は他のコーチとのセッションが相性いいなとクライアントが思っているところに過度な営業意識が芽生えたりと、パートナーシップが歪んでしまうんではないか?という不安が生まれます。

誤解を与えたくないと冒頭で書いたのは、走り出しだからいくら・これくらい実績を積んだからいくら、のような正解はないということを私自身強く思っているからです。コーチとクライアントの関係において、お互いが合意していれば、その上には自然とあるがままは現れるでしょう。

つまるところ「足元でお金稼ぐ」ばかりに意識を向けるよりは、それは一旦脇に置いておいて、他のコーチングの熱源を探してみるのがいいかもしれません、ということです。

10. コーチとしてのビジョンを持つ

いま自分をコーチングを届けたい・コーチでありたいと思わせている何かをここではコーチビジョンと呼ぶことにしましょう(ここでは人生のビジョンのかけらとして扱います)。コーチビジョンと、内なる心の喜び・願いが「点と点で線」をうむ時、それは最小抵抗経路であり、そしてそこには創造的緊張が生まれます。創造的緊張とは、現実とビジョンの乖離に働く、まるで引っ張られた輪ゴムが元の形に戻ろうとする力のことを指します。コーチングにおいては、例えば自ずと動きたくなる・コーチングを届けたい思いが勝手に高まっていく、そんな何かでしょうか。

http://pschool.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/06-8233.html

上の図の通り、クリエイティブテンションを挟む二つのゾーンが存在します: 

乖離が激しい:パニックを生む(輪ゴムは切れてしまったり緩くなる)
乖離が少ない:緊張が生まれない(輪ゴムは元の形状に近い)

コーチビジョンを探求しながらどのゾーンの力が働いているか事故観察してみたり、はたまたすでに緊張的創造が生まれている状態であれば、自分がどういうコーチビジョンに呼ばれているかを明らかにすることができます。

緊張的創造についてより、偉大な組織の最小抵抗経路学習する組織 などの著者であるピーター・センゲの動画(と日本語訳記事)がおすすめです。


以上です。引き続きnote書いていこうと思います。

※本シリーズは無料公開します。より多くの人々にコーチングの素晴らしさを伝えたいため、もしよろしければシェアかいいね!していただけたら嬉しいです。

#THECOACH #コーチング

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