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911とiPod

スティーブジョブズが初代 iPod を発表した2001年10月24日。 そこから遡ること43日前のこと、世界を揺るがす大事件が突然発生しました。 911。 同時多発テロ。

その日仕事を終えた私は家に電話すると、今大変なことが起きている、と。 帰りの電車でラジオを聞くと、World Trade Centerに飛行機が突っ込んだ、やがてあの巨大なビルが崩れだす。

初代 iPod はApple内でも長く極秘プロジェクトで、HDDサプライヤーの我々が実際の製品に触れられたのは直前でした。 数か月前から実装技術打ち合わせがあり、この日は私の部門の営業担当者が技術者数名と一緒にカリフォルニアのクパチーノに向かう前日で、たしかシアトルに居たと思います。

家に戻るやいなや、私は出張者に電話するが、その時は全米がパニック状態で電話は一向に通じない。 その間10数機の旅客機が行方不明との報道あり。 数時間後にやっと米国の駐在員と電話が繋がり、とにかく出張者を電話で捕まえて、状況がはっきりするまで動くな!、という指示をお願いしました。 2時ごろに駐在員から連絡がとれたとの電話をもらい一安心。 ところが翌日会社に行くと、出張者が全員行方不明。 私は焦りました。
午後になり消息が分かりましたが、彼らは飛行機が全部欠航になっていたので、レンタカーを借りて、シアトルから1,000キロ近くを車で移動したのでした。
これには駐在員は激怒していましたが、私はむしろホッとしました。
そして、この状況をおして打ち合わせに来たことで、Appleの方々からかなり歓迎されたそうです。

結局こちらで大騒ぎをしたものの大事には至らず、技術打ち合わせもうまくいき、43日後には無事 iPod が世の中に誕生したわけです。
初代 iPod 誕生こぼれ話、というには私には強烈すぎる思い出です。
こんな大きな試練にもかかわらず、その後のアメリカはIT革命に一直線に進んでいく。 GAFAも巨大企業になったのは、それ以降のお話です。

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