コロナ下での岩場クライミング私案


以下は、2020/4/14にFBに掲載した文章です。

三密ではない登山とクライミングにまで、自粛の波が押し寄せて来たことに危機感を感じたことが発表した動機です。その後の状況に照らし合わせると「蟷螂の斧」的な感じは否めませんが、「STAY HOME」 と「自粛自粛とにかく外出自粛」の同調圧力には屈しないと言う決意を込めて書きました。

◎長期戦の覚悟が必要◎

クライマーの中には、以下のように考えている方が少なからずいらっしゃるようです。

「GW開けまで我慢すれば、また元どおりに、自由に岩場に行けるようになる、だから、今はガマンだ」

そうなればどんなに良いでしょう。

しかし、新型コロナウィルス(SARS-CoV2)について勉強すればするほど、それは困難で、淡い夢と考えるようになりました。

コロナ戦は数年は続きます。

◎今は各自の健康が頼り◎

1ヶ月ならともかく、長期にわたって岩場に行けなければ、クライマーの健康維持に重大な悪影響が発生する恐れがあります。

ワクチンはおろか対症療法さえ確定しないコロナ戦に勝利を得るために、クライマーの健康、具体的には、自己免疫維持は必要不可欠な戦力です。

クライマーは一週間、登れないと心身に不調が発生してしまう人たち。長期戦必至であれば、岩場自粛は得策ではありません。

◎感染対策してアウトドアへ◎

とはいえ、なんの感染対策もせずに、クライマーが岩場に向かうと、クライマーがSARS-CoV2の運び屋になり、COVID-19を岩場周辺の地域に拡大させてしまいます。

ですから、感染対策が必要不可欠です。

そこで、コロナ戦時下において、COVID-19感染拡大防止策を実施し、地域の理解を十分得た上で、岩場でのクライミングを実施してクライマーの健康維持に資することができるよう、以下のガイドライン案を作成しました。ご検討よろしくお願いします。

◎アウトドア関係者はコロナ戦の最前線へ◎

アウトドア活動を生業としてきた人たちは、今こそ、この戦いの最前線に積極的に参加すべきです。外出自粛要請を鵜呑みにして家に閉じこもっている場合ではありません。

アウトドア活動には集近閉の3密とはベクトルが逆方向という特性があり、ぼくらがアウトドアで培ってきたスキルは都会の3密回避に貢献できます。これは、ぼくらだけが持つ対コロナ戦の戦闘能力だという認識が必要です。

比較してみてください。5人家族全員が家にこもって一日を過ごす場合と、5人のうち3人が感染対策をしっかりして、ガイドと共にリスクの少ないアウトドアに出かける場合を。
人と人の接触回避に役立ち、この国難ともいうべきコロナ戦に資するのは後者のはずです。

事故ると医療を圧迫する?

確かに自粛すればそのリスクは0です。しかし、危険に接近し、かつ、事故リスクは最小限に抑制する。そのスキルこそがアウトドア活動を生業とするプロのプロたる所以のはずです。

更に言えば、医療圧迫論は、①都会におけるケガや心の病による医療圧迫<②アウトドアでの事故による医療圧迫という仮定に基づく乱暴な仮説に過ぎません。なぜなら、アウトドアに出かければ、体は一つしかないので①のリスクはゼロだからです。この不等式がファクトかどうか、厳密な調査が必要です。

◎目的は人との接触8割減 外出自粛ではない◎

最近の海外のSTAY HOMEの大合唱のせいで、知事も含め、GWまでの目的は何が何でも外出自粛だと勘違いしている方が多いようです。

しかし、日本政府の立てた戦略は完全な都市封鎖ではありません。戦略は人との接触を8割減らすということです。この戦略は日本では合理的です。例えば、欧米とは異なり、日本人は対コロナ戦の有力「兵器」のマスクにまったく抵抗がないのですから。

外出自粛はこの戦略達成のための手段の一つに過ぎません。唯一の手段ではない。まして目標などではありません。

ですから、不要不急な外出自粛とは3密になるような外出自粛のこと、ざっくり言えば、都会への外出自粛と解すれば良いのです。

目的と手段を混同しない。これはどんな戦いでも大事なポイントです。

◎コロナ下での岩場クライミング私案◎

(1)感染疑い(eg. 風邪症状、発熱、味覚嗅覚消失、倦怠感)のある場合は、岩場にはいかない。

(2)感染疑いはなくても、自分は感染者だと仮定して、感染拡大防止対策をする。具体的には以下です。

①車は1人1台が理想。乗り合わせる場合は、マスク、窓全開、手指消毒をする。

②給油時のGSではタッチパネルとハンドルに注意。使用後は手洗いか消毒。

③コンビニ入店時は、入店前にお店の人と他のお客さんのために、マスクと手洗いか手指消毒。購入品にはウィルスの付着可能性があるので、アルコール除菌シートで拭くか洗う。界面活性剤が有効。お釣りに注意。

④駐車する時は、なるべく離して駐車する。

⑤記帳前に手洗いか手指消毒。トポ購入時はマスク。社会的距離を取る(風上の場合は5m開ける)

⑥トイレ前後に手洗い。便座消毒。

⑦岩場では、1人でない場合はマスクをし、2メートル以上の社会的距離を取る(風上の場合は5メートル)。

⑧お菓子と飲み物共有NG。ロープ共有はNG。

⑨1つの課題に密集しない。

⑩トライ直前と直後手指消毒。グータッチはエアで。大声は出さない。

⑪これまで以上にケガのリスクの低減に努める(eg.ノーマットやめる。ハイボールしない。TR多用など)

⑫クライミング終了後はしっかり手洗いをする。

⑬車内泊はひとりのみとし、他は野外ビバークかテント。テントは一人一張り。ホテル泊ならホテルに事前相談。

⑭食事は各自で自炊し、かつ、バラバラでとる。もちろん、クライマー同士の宴会はNG。岩場のある町のパールなどはあきらめる。会話するならマスクして社会的距離を保つ。

⑮マスク、ティッシュなどは危険物。持ち帰り適切に処理。

⑯スマホは感染源。まめに消毒。

以上です。

なお、エビデンスは後日。

追記4.16
熱が下がったので、入学式に参加して、感染させた事例。よって、2週間以内に発熱があった場合はNGの追加を検討。

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