[写真撮方覚書]構図の作り方
前回の自己紹介記事で書いたように、僕はフィルムカメラから始めて30年くらい写真を趣味にしてきました。ちゃんと体系だって写真を学んだことはありませんが、アマチュア写真家だった祖父と、写真を趣味にしている父を見て育ち、写真雑誌などを読んで独学で撮り方を覚えました。
なので、偉そうに撮り方講座などは執筆できませんので、あくまで自分の撮り方を書き出して整理してみる、「撮り方の覚書」として書き留めて、ご参考程度に公開させていただきます。最初は、構図の作り方です。
まずは主題を決める
僕が写真を撮る時の基本スタンスは、「そこにある空気感を写真に残して伝える」ことで、そこには必ず何かテーマを持った主題となる被写体があります。人物であったり花であったり、時には景色全体が丸ごと主題ということもあります。
僕の場合は、自然にできた空気感を伝えたいため、先に撮りたい写真を決めてそれに合った主題を探したり、被写体の配置を変えて絵を作るようなことは稀で、ぶらぶらと歩いている時に、ふと目に止まったものに何かイメージを感じ取り、ファインダーに入れてみて主題を決めることが多いです。写真を撮る目的の撮影会でも、据えられた被写体を無視して道端の草を撮ったり、撮影してる人達を撮ったり…常に周囲を見回しています。人物を主題にする場合でも、モデル撮影のように背景やポーズを指定するのではなく、不意打ちで自然体を撮りたいと思っています。
ただし、プレゼン資料やブログ記事の素材写真などは、伝える内容が先にあるので、この限りでは無いです。
主題の配置を決める
主題が決まると、主題とそれ以外の写るものをどう配置するかを考えます。その中で、横位置か縦位置かを選択するんですが、写真仲間いわく、僕は縦が多いらしいです。自覚はありません…
大概の場合は、主題が横長か縦長か、主題がどちらに向かって展開するか、主題以外の配置はどうするかで、縦横位置と写す範囲が決まります。また、主題の展開方向によって、画面内での主題の位置も大体決まります。
展開方向とは、例えば人物や生物であれば顔や体の向いている方向、花なら花の正面が向いている方向です。基本的には、見た人の気持ちが向かう方向としていて、この展開方向に向かって空間を作るようにしています。
そのため、
"世はなべて3分の1" "頭上の余白は敵だ"
(出典:究極超人あ〜る)
は極端ですが、僕の写真は主題がセンターから外れていることが多いです。また、人物が主題のポートレートなら頭上の余白は無い方が良いですが、人物が景色の一部である場合は、敢えて余白を取ることもあります。
写したくないものを外す
主題の周囲には、あまり写したくない物があることがよくあります。花壇の花の後ろにフェンスがあったり、幻想的な景色に電柱が生えていたり、時にはやたらハイセンスな人物が歩いていたり…あえてギャップを表現したい時以外は、そういうものを写さないように、慎重に構図を決めていきます。僕の中では、主題決めの次くらいに重要なポイントだったりします。どうしても外せない場合、撮影を諦めてしまうくらいです。
その上で、全体的に主題以外の要素の配置も考えて、主題と他に写したいもののバランスから、最終的な構図が決まります。
作例
ダラダラと文章で書いてもわかりづらいので、いくつかの作例で説明します。前の記事でも書きましたが、以下は全てホワイトバランスは太陽光、撮影後の加工なしです。
主題はわかりやすく、淡い色合いのコスモスで、上へ向かう静かな生命力を伝えようとして、花の向きから左下に配置しています。また、カラーなのにモノクロ風に淡白な感じにする為、背景が単色になるよう他の花が写らないように構図を決めています。撮影場所はお花畑だったので、一輪だけを写すのにちょっと苦労しました。
こちらは生き物の例。紫陽花の中に隠れた蜘蛛が主題で、その構えから生命の力強さと、美しさと怖さの同時性を表現しています。蜘蛛の向きと紫陽花のバランスで、主題を左に寄せています。左上に小さな余白を作ることで、僅かなメリハリも作っています。
人物が主題の例ですが、これはかなり極端です。希望を表現しています。背景の雲の表情もダイナミックだったので、主題のカップルを右下に寄せて、第二主題の夕陽まで右に寄せています。ちなみにモデルさんではなくただの通りすがりのカップルで、この周囲には観光客が夕陽の写真を撮りに群がっていて、この写真のちょっと外側には沢山の人がいます。運良く良い構図が撮れた一枚です。
これは、足跡と波がW主題で、ヒトと自然の優しい出会いを表現しています。僕の中では珍しい、主題がど真ん中にある例です。センターにクローズアップした縦位置でも良さそうな写真ですが、静かな世界を表現したく、あえて左右両方に余白を作って動きの方向を無くし、波のラインで上下を分断しています。シャッターのタイミングに合わせて、波の一部が歩み寄るかのように足跡に向かって伸びてくれた、奇跡の一枚です。
これは、生命力と自然が作る構造の美しさをそのまんま表現した写真です。見た人に生命力をドカンとぶつけて来るように、主題の展開方向は画面に垂直としており、そのため余白どころかはみ出すような構図をとっています。これもトリミングなしの写真で、最初からこのままの形で撮っています。
まとめ
構図の作り方の流れを簡単にまとめると
1) 主題を決める
2) 展開方向を決める
3) 写したくないものを外す
4) バランスを調節する
の順に考えて、後はファインダー内の絵が狙い通りになる瞬間を狙ってシャッターを切ります。僕はまだまだ未熟者なので、この過程に結構な時間がかかり、ファインダーを覗いてからシャッターを切るまであーだこーだ考えています。そのため、いきなり道端で立ち止まって動かなくなってしまうので、子供と一緒の時は、ほぼ「作品」の撮影は諦めています。この辺り、撮影スタイルに再考の余地がある気がします。
また、作例を見ていただければわかると思いますが、僕の写真の主題は、ごくありふれたものがほとんどです。身近にある風景の中から、僕の写真を通して何かを感じていただけたら嬉しいです。
最後に宣伝させてください。OpenSeaでNFTを販売しております。今回の作例の写真もあるので、ご興味あればぜひご覧ください。
https://opensea.io/T_SAKUMA
#写真 #構図 #覚書
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