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グロテスク上・下/桐野夏生

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『 あたしとあなたが一人の人間になったら、うまく生きていけるのよ。でも、うまく生きたところで、女に生まれた以上、なんの意味もないわ』

あらすじ:1997年に東京都渋谷区円山町で発生した「東電OL殺人事件」をもとに描かれた作品。
三人の女性を中心に話が展開する。
「悪魔的」と評されるすさまじい美貌でチヤホヤされるが、周囲から「女性という性しか必要とされない」ユリコ。
「周囲から承認されること」「ありのままの自分を愛してくれる男性」を望み、努力を続けるが、そのすべてが空回りし周囲から嘲笑われ、孤独に落ち込んでいく和恵。
そんな二人と同じ土俵に立たず、二人を嘲笑いマウンティングすることで自我を保っている「ユリコの姉」
その三人が、それぞれの内面を語りながら物語が進む。
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読んでてものすごく暗くて嫌な気持ちになる話。
人間の汚い部分、醜い部分をかき集めたみたい。
登場人物の誰にも共感できないし、何一つ救いのない展開に落ち込んだ。
この話が実話を元に作られてることにも驚愕。
こんな現実がほんの十数年前の日本で本当にあったなんて…
女性なら多少は、こういう悪意とか愚かな心ってあるものなのかな…?