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大好評『タロットの美術史』シリーズより、「巻末特別寄稿」の一部を特別公開!|11巻

大好評『タロットの美術史』シリーズより、
「巻末特別寄稿」(2巻~12巻に収載)の一部を特別公開!
超豪華ゲスト陣による本書でしか読めない
タロットにまつわるエッセイです。

11巻 審判・世界

■11巻 審判・世界

寄稿者:伊泉龍一

(翻訳家)

◆オリジナルのタロットを夢想する◆

 タロットが好きな人だったら、独自にデザインしたカードを作ってみたいと思ったことはないだろうか? 例えるなら、ポピュラー・ミュージックを好きで聴いていると、自分でも楽器を手に取り、その曲を演奏してみたくなる。そして、そのうちにオリジナルの曲さえ作ってみたくなるのと同じように。かくいう私も、いつかはその絵を自分で描いてみたい思いがある。本稿ではオリジナルのタロットの創作に向けて、私自身が勝手に夢想していることを少しだけ書いてみたい。

 確かに「伝統」へ敬意を払い続けることは大切だろう。だが、その「伝統」の中に修正すべき点が見つかったとしたらどうか? 私が新たなタロットを作るとしたら、伝統主義者たちに何と言われようとも、その点を積極的に変えていきたい。
 例えばコート・カード(人物札)に目を向けてみよう。そもそも男女比が等しくないこと(男性の「キング〈王〉」と「ナイト〈騎士〉」と「ペイジ〈小姓〉」のカードが総計12枚あるのに対して、女性の「クイーン〈女王〉」は総計4枚しかない)が気になるのは私だけだろうか? この点に関して言えば、19世紀末に結成されたロンドンの魔術結社、黄金の夜明け団が過去に改訂を行った例がある。結果、「ナイト」と「ペイジ」が「プリンス」、「プリンセス」に変更され、男女比を均等にしたセットが採用されることになった。私としては、伝統よりもこちらの方が断然好ましく感じられる。だが、私はそれをもっと根本的に変えて、そもそも男女の姿で描くことをやめてしまってはどうかとも思っている。では、どうするのか? …………

【この続きはぜひ本書で!】