【連載】異界をつなぐエピグラフ 第8回|「幾何学ノ素養ナキ者」はどこから来たのか|山本貴光
第8回|「幾何学ノ素養ナキ者」はどこから来たのか1.最古のエピグラフ問題再訪
前回、ジェラール・ジュネットの『スイユ──テクストから書物へ』(和泉涼一訳、水声社、2001)を手がかりにして、そこで「エピグラフを添えた最古の例」と目されていたラ・ロシュフコーの『箴言集』を眺めてみた。
『箴言集』の最初の版は1665年に刊行されたもの。といっても、同書には最初からエピグラフが備わっていたわけではない。詳しくは前回をご覧いただくとして、途中のあれこれを端折って言えば、第4版