【連載】すべてのひとに庭がひつよう 第9回|イッテで、ゴドーを待ちながら|石躍凌摩
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第9回イッテで、ゴドーを待ちながら1.庭師性
窓の向こうには灰色のテラスが広がっていて、さらに向こうに見える無機質な建物群に四方をすっかり囲まれている。いかにも殺風景な眺めだが、窓辺から店内に張り出した土壁のソファに腰掛けてみれば、四方の建物が途端に額縁のようにはたらいて、そこにくっきりと空が映えている。
いま店に来て、土壁のソファに腰掛けて、ゆっくりとお茶をする客人の心になってみれば、この殺風景な眺めはどうにも頂けないが、空ならずっと見ていられる、とそう感じ