【連載】すべてのひとに庭がひつよう 第4回|胡桃の中の世界|石躍凌摩
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第4回胡桃の中の世界
中秋の名月の翌日に、染めもの屋ふく(*1)主催の「草紐の会」に参加してきた。気づくとどこにでも生えている苧麻(チョマ、カラムシ、ラミー)は、明治に入って綿が広く普及する以前には、これが衣服の素材の主流をなしており、かつては広く栽培され、工夫の末に糸が|績まれて、布が織られてきたという。それは今でも使われており、私がいつも被っている、作家・花月日(*2)の手になる種蒔帽と名付けられた帽子にも、亜麻と苧麻が経緯に織られた不均一さのうつくしい布が