星の味 ☆5 “偶然の祝福”|徳井いつこ
夕暮れどき、散歩をしていると、薪の香りが流れてくる。
どこかの家で薪ストーブを焚いているのだ。
どの家かな……ときょろきょろする。木立を透かして、うっすらと煙が流れだしている煙突を見つける。
森のなかに点在する家々に、さまざまな形、大きさの煙突があり、屋根から室内に伸びて、薪ストーブにつながっている。
どのストーブの中でも、ちらちら火が燃えているだろう。
上には、蓋をずらしたシチューの鍋がことこと音をたてているかもしれない。そばには火の粉よけのラグが敷かれ、猫がま