星の味 ☆4 “奇妙な惑星の奇妙な人々”|徳井いつこ
シンボルスカの名を初めて聞いたのは、30年前のことだ。
当時ロサンゼルスにいた私は、こつこつ石の本を書いていた。
「どうして石の本?」と無邪気に聞かれるなかで、アルメニア系アメリカ人のその友達だけは、いたずらっぽい顔で「ヴィスワヴァ・シンボルスカを知ってる?」と尋ねたのだ。
知らない、と私は言った。
舌を噛みそうだね、その名前?
「ポーランドの詩人だよ」
と友人は笑った。
「石の詩を書いてる」
私たちはふたりとも赤ん坊を育てている最中だったが、彼女は夜中にキッチン