星の味 ☆14 “世界という魔法”|徳井いつこ
エミリー・ディキンソンの詩を読むたびに、“エミリー・ディキンソン”だけでできている、という当たり前のことに驚く。
当たり前、ではないはずだ。言葉は私たちの共有財産で、より一般的なものを多く伝達するようにできているのだから。
彼女の詩はすみからすみまで、どこを切っても“彼女”だけでしかできてない。「純正」という言葉が、これほどぴったりな詩人もいないだろう。
自分自身という所有品のなんと
適切にみごとなこと。自分が
自分自身への発見に向かう
他の誰も見出せ