星の味 ☆10 “見えないもの”|徳井いつこ
地上には、星の味のするものがいっぱいある。
子どものころ、チャイコフスキーのバレエ曲「くるみ割り人形」のなかの“金平糖の精の踊り”が好きだった。
チェレスタのあの不思議な音色が鳴り始めると、からだが勝手に動きだし、ころころころがる砂糖菓子になっているのだった。
いっぱいの、色とりどりの小さな球体が、それぞれに均一な突起を持ち、半透明に輝いている。星空を独り占めしてるみたいなわくわくと、口に入れたい誘惑の板挟みに陥るのが金平糖だった。
金平糖は
夢みてた。