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お茶にしましょう

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文人会の若宗匠・如翺(ジョコウ)先生とその弟子・寿(ジュ)との往復書簡。 茶とは? 花とは? 日本的教養とは? 江戸時代以来の「文人茶」を継承しつつ、令和時代の「新しい茶会」を実…
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#田能村直入

7|フェンネル、かのこ、つくねいも

寿から如翺先生へ ◇   「茶椀の岸に見える美麗」 「お茶にしましょう」  今日は、編集者のOさまのドイツ土産、フェンネルティーをいただきましょう。お茶うけは栗かの子。こちらは別の方からの信州土産です。  フェンネルと栗。  意外な出会いのようですが、実はともに聖ヒルデガルト(*1)お勧めの健康食材で、聖ヒルデガルト料理研究会HPには「栗とフェンネルのスープ」も紹介されています(*2)。  このフェンネル、生まれて初めて飲んだ時には飲みにくさに驚きました。ところが不思議な

6|新茶を交わす煎茶会と、絵入りで残す煎茶図録

如翺から寿さんへ ◇ 新茶はお好きでしょうか?  今年も「新茶」の時期になりました。  新茶を摘むのは、立春から数えて88日目、いわゆる「八十八夜」を基準にします。年によってズレはありますが、だいたい5月2日ごろ、今年は5月1日だったそうです。新茶が、私たちの手に届くのは毎年GWが明けた頃で、年によって異なる味覚を楽しんでいます。  新茶の魅力は何ですか、というご質問をよくいただきます。私は、みずみずしく爽やかで、かつ、茶の「葉」そのものの青々しさが素直に感じられるところ

5|だんごセットと「ひま」とアマ

寿から如翺先生へ ◇ あみじま茶屋にて 「お茶にしましょう」  と思って、せっかく訪ねて行ったのに会えなかった!という十時梅厓のお話、楽しく拝読しました。  桜のあとの新緑の爽やかさも、また格別の大川河畔、 (訪問先の岡田米山人の文房はあのあたりだったのかしら…) と対岸を眺めつつ、今回、私は藤田美術館のあみじま茶屋でお茶することにしました。「お茶とだんご」セットは、抹茶・煎茶・番茶の三択ですが、もちろん煎茶でしょう。ここは、なんといっても「青湾」の地なのですから。  美