マガジンのカバー画像

お茶にしましょう

11
文人会の若宗匠・如翺(ジョコウ)先生とその弟子・寿(ジュ)との往復書簡。 茶とは? 花とは? 日本的教養とは? 江戸時代以来の「文人茶」を継承しつつ、令和時代の「新しい茶会」を実…
運営しているクリエイター

#煎茶会

10|絵の中の滝から、水を汲んで

如翺から寿さんへ ◇ 大英博物館で煎茶会  毎年、毎年のことではありますが、本当に残暑が厳しく、エアコンの効いた室内から扉を開けて外に出ると、むしろサウナの中に入っていくような感覚になるほどです。    いつもいつも、私からのお返事が遅く、大変失礼をしている次第ですが、今回はちょっとした言い訳があります。8月、パリ・オリンピック期間中、ロンドンの大英博物館で、煎茶会を開かせていただいておりました。  大英博物館の日本ギャラリーでは、現在(2024年4月~2025年3月)、

6|新茶を交わす煎茶会と、絵入りで残す煎茶図録

如翺から寿さんへ ◇ 新茶はお好きでしょうか?  今年も「新茶」の時期になりました。  新茶を摘むのは、立春から数えて88日目、いわゆる「八十八夜」を基準にします。年によってズレはありますが、だいたい5月2日ごろ、今年は5月1日だったそうです。新茶が、私たちの手に届くのは毎年GWが明けた頃で、年によって異なる味覚を楽しんでいます。  新茶の魅力は何ですか、というご質問をよくいただきます。私は、みずみずしく爽やかで、かつ、茶の「葉」そのものの青々しさが素直に感じられるところ